第18話

「いや、去年もずっと代表代われって言ってたなと思って」


「あー懐かしいね」



なんせ当時はこの親睦会で勝ったら代表になる、なんて知らされてなかったから。


実際は勝ってもなれないことの方が多いんだけど、この親睦会の出場者に選ばれるってことは少なからず総代表から注目されてるって証で。



それすら俺は知らずに、士郎たちに半ば強引に出場させられて、周りの煽りにムカつきすぎて意地で勝ってしまい、お前明日から代表だから。とその場で決定させられた。


言われた時は、え何言ってんの?と本気で思った。


普通の人間ならそうなるよ。



「いつの間にか言わなくなったな」


「だって虎雅キレたじゃん。

勝った奴が負けた奴に縋るんじゃねぇって」


「ったりめぇだボケ。

喉から手が出る程欲しかった代表の座をすんなり手にした奴から、要らねぇ譲るって言われて嬉しいか? あ?」


「ごめんって」



プライドズタズタもいいとこだ。と吐き捨てられ、ごもっともですと頭が上がらない。



「でも言わなくなったっつーことはお前の中でなんか変わったっつーことだろ?」


「んー、そんな大層なことでもないけどね」



ただ、虎雅の話を聞いて、士郎たちを間近で見て、駄々をこねるのはよくないなって改心しただけ。



いつまでもみっともないままではいられないなって。




「お。出番だな」



第3試合は1年がひっくり返し勝利。


悔しそうに退場する3年を見て、久しぶりに暴れるかと笑う虎雅は楽しそうだ。



俺は虎雅に勝ったけど、虎雅がそれ以外で負けるところは正直想像がつかない。



相手の一年生には悪いけどきっと虎雅が勝つだろう。








「虎雅。任せた」




なんて見送るのが正解か。



頑張れも勝てよも違う気がして、口から出たのはそんな意味不明な言葉。




それでも何故か、振り返った虎雅は嬉しそうだった。





「おう。任せろ」




今回2年から出場するのは俺らだけ。



2年の威厳とか正直俺は何も感じてないし、きっと虎雅もそんなんどうでもいいと思ってる。



けど、士郎とりづさんたちが3人だけにしかわからない空気感を持っているように、俺ら2年には2年にしかわからないものがあると思う。












例えるなら多分これは、2年のプライド。






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