第4話
僕は7歳になったので、村の教会兼初等学校に入学しなければならなくなった。
母さんが学校の教師補助のような事をしているので、家庭教師みたいに家でたくさん勉強をしていたし、転生者補正なのか『1を教えられて10を知る』事ができているので、母さん曰く、既に初等学校卒業並びに中等学校2年生なみの学力があると太鼓判を押されているので、生徒として通うのではなくて、教師補助として通って欲しいと校長、教頭、そして村長が一緒になって頭を下げたので受けないわけにはいかなかった。
給金は月に銀貨5枚と、こんな辺鄙な村にしてはかなりの大金だが、クロードが冒険者として稼いでいる金額に比べたら端た金にしか思えなかったが、これも村のためなら仕方がないと割り切った。
学校は毎月5のつく日が休みなので、その日は最近草原地帯を卒業して森の中に狩り場を移していたので、それはもう狩るわ狩るわ。1日で100近い魔物や魔獣を討伐してきて稼いでいる。
その額は何と1日で大銀貨5〜6枚で、時には金貨を稼ぐ事もあった。
初等学校は3年間で卒業して、中等学校に進学する者、稼業を手伝う者など様々だ。
クロードは10歳になった。
初等学校3年間をずっと首席であり続け、やっと卒業したクロードは当然ながら中等学校に通う事を両親から強制されていて、兄さんが卒業した隣り街にあるルーシェン中等学校に進学する事が決定していた(本人には拒否権はなかった)。
ルーシェン中等学校は全寮制だったので、クロードにとって初めて親兄妹と離れて暮らす事になった。
ここで大問題が発生した。
それは妹のレイチェルがクロードと離れて暮らすのを嫌がって大泣きしてしまったのだ。レイチェルは大のお兄ちゃん好きで、特にクロードに懐いていて、
「クー兄ちゃんのお嫁さんになるのです!」
が口癖なくらいのクロード大好きっ子だったので、宥めたり煽てたりととにかく有りとあらゆる手を使って説得できたが、出発までの1週間を同じベッドで寝るのが条件だった。
創造神様。
こんなに可愛い妹ですが、ちょっとブラコンが過ぎませんか?
隣りでスヤスヤと寝息を立てるレイチェルの寝顔を見ながら心の中で呟くと、
(いや、儂の管轄ではないからのぅ)
どこからかそんな声がした気がしたのは気のせいだろうか?
そして出発の日が来た。
見送るのは、リューガ父さん、リノール母さん、セブルス兄さん、妹のレイチェル達4人だ。その他にも近所のオジさん、オバさん達がたくさん見送りに来てくれていた。
何しろ村から2人続けて中等学校に進学するだなんて村ができてから初めての事だから、皆んなの顔がクロード以上に緊張していた。
レイチェルはまだグズっている。
「チェル。月に1度は帰ってくるって約束しただろう?その日まで良い子にしていたら、お土産を買ってくるからね」
「本当…?」
「お兄ちゃんがチェルに嘘をついた事があったかな?」
「ううん。無いのです。お兄ちゃんは私に嘘をついた事はないのです」
「だろう?だから今度も本当だよ。父さん達の言う事をしっかりと聞いて、危ない事は絶対にしない、近付かない。守れるよね?」
「はいなのです!絶対なのです!!」
「うん。チェルは良い子良い子だね。じゃあそろそろ行ってきます!」
隣り街までの乗り合い馬車に乗り込んで出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます