育ての親と心を通わせながらも、やっぱり生母のことも知りたい。 切ない気持ちが伝わってきた。 心がほんのり温かくなる読後感だった。ああ、こんな図書館に行ってみたい。 それにしても消費貸借言語論、からの物語の広がりがとても面白かった。斬新なアイディアだと思う。
自分の生みの親ことを知りたくて、図書館の特別サービスを申し込む「私」。そのサービスを担当するゴウスベさんを特別な司書たらしめているのは、どう考えても「消費貸借言語論」よりも「時空間データ移動技術」の方なのだが、そこには細かく触れないのが華だろうか。誰かが望むから誰かが利用可能となる、そんな不思議な図書館に私も行ってみたい。
図書館の最上階、重い扉の奥にいる特別司書・ゴウスベ。彼女が扱うのは普通の書籍ではない。時空を超えて必要な「言葉」を貸し借りする不思議なサービス。自身の出生の秘密を知りたいと願う主人公。提示されたのは、見覚えのない「旧版」の母子手帳と、一通の手紙だった。「借りたものは、別の形で返せばいい」アカデミックな知性と、あたたかな感動が交差するハートフルSFファンタジー。