第15話

 殺人鬼は警備員を見る。

 岩本は殺人鬼が目を離した隙に、サツマタを拾い上げ、殺人鬼の頭を何度も叩いた。

「このやろおおおおおおお!」

 殺人鬼はうずくまる。

「やめなさい!」

 警備員は岩本を取り押さえた。

「そっちじゃない!」

「え?」

 殺人鬼は包丁を拾い、警備員目がけて突っ込んだ。腹部を刺す。

 警備員は苦しみの声を上げた。手には血。

「なんじゃごりゃああああ!」

「きゃああああああ!」

 殺人鬼、警備員を滅多刺しにする。

「ぐあああ、助けて、助けてえ」

「逃げよう!」

 岩本と山口は手を繋いでその場から逃げる。

 二人はもう一度、施設の中に入った。

「来てくれた人が……」

「振り返るな!」

 廊下を駆ける。

 メインエントランスまできた。

「ここまでくれば」 

 二人はガラスの扉の外を見た。

 殺人鬼が外に立っている。

「うそ」

「ふざけんなよッ!」

 山口は膝を折り、

 岩本は肩を落とした。

 殺人鬼は一歩、二人に近づいた。

 サイレンの音が聞こえてきた。

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