第11話普通の少女桜子、ゴールする。
「あの、巨大な玉を壊しちゃった、、、」
「あれが、サクラコちゃんの能力か。髪がピンクに染まってきれい、、、」
「す、すごい、です。」
スミ以外は、そりゃもうびっくりしていた。
一方で、アキヒメはと言うと、、、
「サクラコさぁん!ありがとぉう!ほんとにありがとう!」
とっても私に感謝していた。
「アキヒメが、無事で、よかったよ。」
すると、アキヒメが、ニヤッと笑って嬉しそうにしている。
「どうしたの?」
「いやですね、、、サクラコさんが初めて名前を呼んでくれたのがうれしくて、、、」
「そっか、そういえばそうだね。」
私もつられて笑顔になってくる。まぁ、表情は変わらないんですけど。
「気づいてなかったんですか?」
「あの時は、夢中だったからね。それにしてもよかったよ。私も、初めて魔法使ったからうまくいって。」
「え?あれ、は、初めてだったんですか?」
シオンがびっくりしたように聞いてくる。
「そうだよ。意外と簡単だったねー。」
「まじか、、、すごいなぁ。」
「サクラコさんって、すごい人だったんですね。」
アイビーは、私のことなんだとおもってたんだよ。
「それにしても、これからどうしましょう?」
「そうですわね。わたくしも、歩けなくなっちゃいましたし。」
「俺にいい考えが、あるんだけど!」
うわっ。にょきっと生えてくるな。びっくりするだろ。なんか、こんなこと前にも考えたな。なんで、みんな、にょきっと生えてくるんだ、、、
「なんや?なんか、いいのが、あるんか?」
「うん!最初から、言ってるんだけどさ、、、アイビーちゃんの、バルーンで、飛んで移動できないかな。」
スミが相変わらずの笑顔でやれやれと言ったふうにそう答えた。
その瞬間。
「あ。あー!その手があったかー!」
私たちは、そういっせいに叫んでしまった。
私は、みんなで飛んで移動することになるかと思いきや、私だけアキヒメを抱っこして走ることになった。
「なんで?私も飛びたかった!」
「ありがとうございますですわ!わたくしのために、、、アキヒメ、感激ですわ!」
「まぁ、いいけど。」
ブスッと答える私に対してアキヒメはとても嬉しそうに笑うのだった。
「サクラコさーん!落とさないように、しっかり持っててねー!」
スミが声を上げる。だが、納得いかない。なんで私が運ぶ係なんだ。こういう時は男子が運ぶものじゃない?まぁ、魔法があるからしんどくはないけど。私も魔法覚えたばっかりなんですけど!
「なんで、私が運ぶ係なの〜」
「だって、めんど、、、サクラコさんが適任だからねー!」
今、めんどくさいって言ったでしょ、、、私は聴力がいいんだからね。飛んでてもしっかりと聞こえてるよ!
「こんな手があったとは、、、早く気づけばよかったなぁ!めっちゃ楽やわぁ。」
もう一回言うけど私は聴力がいいんだからね。うらやましいとか思ってないから。
「あ、あれ、ゴールじゃないですか?」
シオンがそう言う。私もつられて前を見ると、そこには、赤い旗があった。
もうゴール?まだ、そんなに走ってないけど、、、
「やっと、ついたー!もう、一時間くらい、たったんじゃない?」
え?もうそんなにたったのか。さすが、魔法だな。全然、しんどくないし、速かった。
「最後は皆で、ゴールするのですわ!」
アキヒメがそういうと三人がふわふわと降りてきた。
みんなで手を繋いで一列にたつ。
アキヒメ、シオン、ラピス、アイビー。この五人でゴールできてよかった。
「たのしかったよ。また、あおう。」
ん?今何か、聞こえたような、、、気のせいか。
うーん。
あれ?なんか、忘れてるような、、、まぁ、いいか。忘れるってことは、重要なことじゃなかったってことだし。
「「「「「せーの!ゴール!」」」」」
その瞬間、足元が闇に包まれた。
ドサッ
「あー!やっと、きたのー!」
「遅かったな。俺は、1番最初にゴールしたぞ!」
「おつかれさまです。桜子さん。」
目を開けると、三人が、笑って待ちくたびれたかのようにそう言った。
「帰ってきたの?試験終わった?」
「終わりましたよ。これから、試験の結果発表です。」
終わったのか。帰ってきた!
「ベニ!シンク!アカネ!」
ガバッ
ギューっと三人を抱きしめてそう実感する。
「わわっと!もう、どうしたの〜?寂しくなっちゃったの?」
「うん。疲れた〜!もう、戻ってこれないかと思ったー!」
とびきりの笑顔を三人に向ける。
「おっ!いい笑顔だな!よほど楽しかったんだな!また、今度、聞かせてくれ。」
「えっ!笑顔になれた?」
「あっ。戻っちゃいました。でも、可愛かったですよ。」ニコッ
はぅ。うぅ。心臓に悪い。可愛いと思ってしまった。
やっぱり、自分の顔の良さ、自覚してるよね!?
その時、パンパンと手を叩く音がして、前を向くと、ミソラ先生が前に立っていた。
「はい。これから、クラスを発表します。ここに順番に並んでください。」
相変わらず、冷たいなぁ、、冷たい風がビュンビュン吹いてるな。
すると先生は、手のひらくらいの紫水晶玉を手に持った。
「この水晶に手をかざしてください。クラスが手のひらに浮かびます。このクラスは、人には見えないので安心してくださいね。人に見せたい場合は念じると浮かんできます。」
ザ!魔法って感じだ!さてさて、私のクラスは何かなぁ?
私は1番後ろだ。1番最後に試験が終わったからだな。
私の前にアキヒメ、ラピス、アイビー、シオンと並んでいる。
あ、三人は、終わったんだ。
「どうだった?」
「俺はミラクルクラスの7ランクだったぜ!」
「私も!ミラクルクラスの7ランクなの!」
「やった!勝ちました!」
二人の言葉を聞いた途端アカネが嬉しそうに声を上げた。
「僕はミラクルクラスの9ランクです!」
自慢げに言うアカネ。
すごっ。ほぼマジカルクラスじゃん!
「嘘だろ!負けた〜!」
「負けちゃったの〜」
「大丈夫だよ、二人も十分すごいから。」
悔しがっている、ベニとシンクをよしよししていると、、、
あ、アキヒメの番だ。て、ことは次、私か。
「嘘ですわ!わたくしが、こんなクラスなんて!」
よかったのかな。私、負けちゃうかも。アキヒメ、すごかったもんな、、、
そうぼんやり思ってるうちに私の番だ。
手をかざすと、手のひらが光る。
私のランクは、、、
[未知]
え?未知?どゆこと?これが、クラス?
「先生!なんか、変なのが出たんですけど、、、」
「ええ?そんなことありません。この水晶はとっても、正確、、、いえ、そんなことありましたね。」
先生は、私の手を見ると、すぐに意見を改めて、学園長を呼びにいった。
「桜子、クラスはどうだった?」
「桜子ちゃんのことだから、きっと予想外のクラスになってるはず!」
「なんでしょう、わくわくします!」
三人には見せてもいいか、、、
そう思い、手を三人に見せると、途端に苦虫を噛み潰したような顔になった。
「どしたの?!」
「いやぁ、、、これはほんとに予想外だな。」
うんうん。とうなずく、三人をみて、不安になった。
え、そんなに、やばいことなの?普通じゃないの?
戸惑っていると、ウサギのぬいぐるみが私の方にやってきて、手をぐいっと引いた。
「学園長!」
「ふむ、ふむ。これは、、、」
ごくり。
緊張がはしる。
「わからん!」
ずこー!
思いっきり、こけてしまった。
「桜子、大丈夫か?」
ベニたちが心配している。
「大丈夫、大丈夫。それで、学園長、これは、なんなのでしょう。」
「多分、伸び代があるって、ことじゃ。水晶は、正確じゃ。水晶がそう言ってるのだったら、そうなんじゃないのかのぅ?」
えー。そんな、適当な、、、
「そんな、適当なことあるか!こら、学園長!こっちむけ!お前なぁ!」
「そうなの!そうなの!お前、ボッコボコにするの!」
「うわ!三人ともなぜそんな怒ってるんじゃ?なんかしたかのぅ。」
「あぁ。しましたよ。あなた、アキヒメさんに僕たちのこと喋ったでしょ。あなたは、酔っ払うとすぐ、そういうことするんですから!」
「すまんのじゃ!そんなこと、言ってるとは、、、記憶にないのじゃ、許してほしいのじゃ!」
「あなたは、ボコボコの刑です。」
「あー!」
ぬいぐるみをボコボコにする三人。
「三人とも、その辺にしようよ。今、やっても、しょうがないでしょ。」
思わず、止めてしまう。
「サクラコくん〜!ありがとうなのじゃ!」
「いえいえ。」
「ごめんなのじゃ。代わりにこれから、なんかあった時になんでも、言うことを聞くのじゃ!な!それで、よかろう?」
「ああ。それで、今回は、許してやる。あと、一個言いたいことがある。」
「なんじゃ?」
ベニは、一つ深呼吸して、言った。
「その口調似合ってないぞ。」
「な、なんじゃと〜!!!!」
「じゃあ、サクラコさんのクラスは私たち、先生で話し合って決めるから待っててね。」
「はーい。」
「返事は短く。」
「はいっ!」
結局、私のクラスは、スタークラスの5ランクになったのでした。
「やっと、普通になれた気がする!」
桜子は安堵したが、それは、ちょっと間違えだった。
ただでさえ目立つ、ベニ、シンク、アカネ、アキヒメと一緒に過ごしている上に、この度の試験は配信されていたので、ある意味、目立ってしまったのである。
果たして、桜子が普通になれる日はくるのか。
ちなみに、勝負の結果は、、、
「せーの!」
私は、アキヒメと同時に手のひらを見せあった。
「スタークラスの5ランクですわ!」
「え?私も一緒!」
なんと、一緒?て、ことは、、、
「引き分けですわ!」
「引き分けかぁ。」
勝負は、引き分けだけど、まぁ、このくらいがちょうどいいのかも。
「悔しいですわ!あんなに頑張ったのに!」
「アキヒメはもうちょい上かと思ってた。」
そう言った私に対して、アキヒメはビシッと指をさして、高らかに宣言した。
「これからは、ライバル兼友達ですわね。」
そう言って笑うアキヒメに対して私も笑顔を返す。
「いや、友達は、ちょっと。」
「あー!今、笑いましたね!笑ったらちょっと可愛いじゃないですか!」
「とにかく、友達はないから!」
「照れてるんですか?このこの!」
「うるさい!」
でも、ライバルならいいかもしれないけどね、、、
私は密かにそう心の中で思うのだった。
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