第4話普通の少女桜子、気配を消す。
「ついたー!」
「し、死ぬ。」
登校だけですでに疲れた、、、
ベニに小脇に抱えられ、ジェットコースターのような速さで学校までやってきた。
めっちゃ早かったけどめっちゃ怖かった。
ぜぇぜぇと肩で息をして少し落ち着く。ふと、上を見ると、そこには普通とは言い難いとても大きな門がそびえたっていた。
まじかぁ。
「立派ですねぇ。さすがこの宇宙一の名門校。」
「ここが宇宙一の名門校か。さすがだな。相手にとって不足なしだ!」
宇宙一の名門校。さう言われて納得できるほどその建物は立派だった。
私が呆けていると、シンクがはやく、はやく!とせかしてくる。
「こんなに立派なとこの生徒だなんて、、、あー普通から遠のいていく。」
頭を抱えて悶絶するが、もはや何もかもが遅い。
仕方がないか、、、私が決めたんだもんな。しょうがない。
諦めて、三人と共に門をくぐるのだった。
「そういえば、私は特別クラスに入るんだよね?」
入学式を終え、私たちが入る特別クラスに向かう途中ふと気になって聞いてみた。
「そうだよ。この四人とも特別クラス。」
へー。特別クラスってなんなんだろ。特別かぁ。普通がよかったな。
「俺たちはよー、ほんとは特別クラスには入れないんだけどよ。今回特例で入れてもらったんだ。」
「特例?!よくそんなことができたね。」
「まぁな!ここの学園長とは顔見知りだからな。」
特例かぁ。顔見知りって、一体どんな風に頼んだんだろ。
ベニのことだから、おらおら!ってな感じで頼んだんじゃ、、、
「ついたの!ここが特別クラスの教室!」
ずっと考え事をしていたので気づかなかった。まぁ、教室は普通だよね。て、いうか、ここに差があったらだめだよね。
考え事は後にして前を向くと、、、
私の期待も虚しく、他の教室とは明らかに違う特別教室が目の前にそびえたっていた。
なんで、こんなに豪華なんだ、、、
金キラ金で、なんか凄い飾りがついてて、まるで、まるで、、、金閣寺みたい。
「まぁ、こんなもんだよねーここは。他星から留学生が来るんだもん。そりゃ豪華だよね。」
「見栄えだけでも良くしとかないとな。なんせ特別だし。」
「僕たちも魔球代表として半端な行動はできませんね。」
「え、ちょっとまって、魔球代表?てことは、私は一体な、、、」
ぞくっ
?今、一瞬、嫌な視線が、、、
「桜子さん。行きますよ!」
「あ、わかった。」
なんだったんだ?、、、まぁ、気のせいか。
この時の私の勘は正しかったんだ。気のせいだと思ったことを後から後悔する。
教室に入るとそこにはもうすでにこのクラスの生徒がそろっていた。
色々な美人、美少女、イケメン、美少年、などなど、美形がそろっている。
なーんで、私の周りにいる人はみんな、美形ばっかなんだ、、、
「おはようございます。皆さま。これから一年間よろしくお願いいたします。」
「よろしくなのー!」
「よろしく。」
途端に教室がざわっとした。
多分、普通ならこの人たちの声は聞こえないんだろう。でも、私は今、ベニたちに魔法をかけてもらってるから、ちゃんと、日本語に聞こえる!
「あの人たち凄い美人、、、で、ですね。」
「かっこいいわぁ。」
「素敵、です。」
いやいや、自分達の顔見てから言ってよ。
そりゃ、三人は美人だよ。でも、この中でいったらまぁ、上位には入るけどそれでもほぼみんなと変わらないよ。
「よろしくね!三人はベニくんとアカネくんとシンクさんだよね!いやー!三人とも美人さんやなぁ。すごいー!」
「すごい、です。」
ん?三人?
あ、まぁ、そうだよね。私は普通だし。この中に比べたら美人じゃないよね。
そもそも、私のこと見えてないのか。まぁ、しょうがないか。
私の席どこだろ。先に座ってよ。
「ん?あれ?さくちゃんどこ行ったの?」
元々、気配がものすごく薄いからさらに自分から気配を消すともう、どこに行ったか、三人でも、わからないんだよね。
「そういえば、桜子いないな。」
ベニが辺りをキョロキョロと見渡す。
私は空気。私は空気。私は空気。
「サクラコ?」
「そうだよ。地球代表の桜子。」
「そんな人いたっけ?」
なんか、地球代表とか、聞こえたけど、私は空気。私は空気!
ガラッ
「そこ、邪魔だよ。どいてね。」
ひっ、、、あの人が入ってきた途端、教室の温度が下がった?
誰だろ、あの人。
「あー!ミソラじゃん!やった!ミソラが、担任?嬉しい!」
え、シンク?!そんな、仲良く話しかけて大丈夫?
「シンクさん。いえ、シンク。ミソラ先生ね。ちゃんと先生をつけなさい。」
「はーい!ミソラちゃん先生!」
「はぁ。全く。」
なんか、前から知ってる人みたい。はっ!私は空気。私は空気。
「全員席に着いてください。これから自己紹介をしてもらいます。」
私はくう、、、
「おっ!桜子、そんなところにいたのか。」
うわぁ、まじか、私の席の後ろと、斜め後ろと、横にそれぞれ三人がいるじゃん。さすがにこれでは、私のことを知ってる人が見たらいるってわかっちゃうよ。
「いたよー最初から。ベニ、隣の席だなんて偶然だね、、、」
「おう、これからよろしくな!」
ニコッとベニが笑う。ぐっ、イケメンのキラキラスマイル。浄化される、、、
「そこ!ベニさ、、、ベニ!私語は慎みなさい!」
ほっ。先生にも見えてないみたい。怒られるのは疲れるからな。よかったー
「せんせー、桜子もいるんだけどー」
ベニ!余計なことを。
「え?サクラコさん?そんな子、いましたっけ?」
先生が名簿らしきものを確認する。
「い、、、ますね。え?でも、どこに、、?」
キョロキョロと辺りを見回して首を傾げる先生。
仕方がないか、、、
「先生。私が桜子です。すみませんでした。」
私が発言してもまだ、先生には見えてないみたい。どうしようか、、、
「先生。桜子さんはいますよ。ほら、僕の目の前にいます。よく、認識して見てください。」
その言葉にクラス全員が私の方に集中する。
すると、まず、一番初めに先生がハッとしたように私を見つけた。
「い、いる。いつからそこにいたんですか!」
先生の言葉に続き次々とあっ。っという声が聞こえる。
「ずっといます。先生。見つけてくれてよかったです。私が桜子です。喋ってすみませんでした。」
私の言葉に先生が少しビクッとする。私の顔が怖かったのか?
相変わらず、表情がうごかんなぁ。どうなってんだこの顔。
でも、今まで見つけてもらえたことないから怖がられてもちょっと嬉しい。
思わず、フフフフフと笑いがこぼれる。が、無表情なので先生も少し引いている。
「あ!さくちゃん、笑ってるの!なんか嬉しいことあったの?」
ツンツンとシンクが私をつつく。それをみて、クラスメイトが「あれ、笑ってるの?」と引き気味だ。
「こほん。まあ、反省してるようならよかった。早く座りなさい。」
その言葉にゆっくりと座る。
「すごい。めっちゃ堂々としてる。」
「表情がひとつも動いてないぜ。」
おーい。聞こえてますよー。
はぁ。まぁ、いいか。少しの生徒でも見えただけでも凄いもんな。さすが、特別クラス。
「それじゃあ、自己紹介は私から。私はこの教室の担任を務めるミソラだ。よろしく頼む。」
「はーい!ミソラちゃん先生!」
「はぁ。まぁ、いい。その後の生徒は自分の名前と出身地を言ってくれ。」
自分の名前はわかるけど、出身地?なんで、そんなこと言うんだろ。
あぁ。そっか、ここが留学生ばかり集めた特別クラスだからか。どんなところから来たんだろ。この学校は宇宙一の名門校って言ってたから、宇宙のさまざまなとこから来たのかな。それにしたってなんで、美形ばっかりなんだ。これは学園長の趣味とか?どうなんだろ。
「次、サクラコ!、、、サクラコ!聞いているのか!あなたの番だぞ!」
はっ、考え事してて、聞いてなかった。もう、私の番か。
「はい。伊集院桜子です。地球出身です。見えないこともあると思いますが、あまり気にしないでください。よろしくお願いします。」
よし、結構上手く自己紹介できたんじゃないか?
「はい。ありがとうございます。次!」
ふう。よかった。上手くいったんだ。なかなかの挨拶だったな。
そもそも、今まで、人と会話したことがほとんどないのに、いきなり自己紹介してって、言われたら焦るわ。ベニが余計なこと言ったせいで空気になれなかったし。でも、私が見つけられたのは凄いな。私が見えるのはベニ達だけだと思ってたからなんか、違和感が。
「桜子さん、桜子さん。もう、先生いっちゃいましたよ。」
「あっ、ごめんアカネ。今日はこれで終了だっけ?」
「そうだよ。もう、ちゃんと聞いていましたか?」
「大丈夫、大丈夫。ちゃんと聞いてたから。」
「ほんとですかね、、、」
「あはは。それじゃあ帰ろうか。」
「帰ろう!帰ろう!」
「帰るとき、また、競争しようぜ!」
「えっ、また?!」
私たちが教室をあとに、しようとしたとき、外からダダダダダダー!と誰かが走る音がしたのだった。
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