アンネビネ・シュターツグリュンドゥング
@kira_hogeisen
第1話 アンネビネ
「俺の子供たちよォーーーーーーーーッ!!!!!!!」
頭巾を被った巨漢が叫んだ。
彼はここ数年で急成長を遂げた盗賊団の首領だった。
彼の手にある、見た目はクナイで全長2メートルの巨大な鉄塊は、彼とその部下たちが乗っている蒸気機関車の先頭部分を指し示していた。
彼らは客車の屋根に乗っており、数両前方の機関部近くにも別の人物たちがいた。
その多数の中でも最前には四人の伝説の人物が立っていた。
ゴアキ・シノカガミ、テンゴク・ワタシ、ザポ・ドルオケル・ダラキ、そしてアンネビネ・ペシャ・スパダ・アル・ポルノ。
盗賊たちはその四人の後ろにいる兵士には目もくれなかった。
彼らが狙うのは、“初代英雄”と呼ばれる四人だけだった。
彼らは元々キヨグフ王国の貴族だったが、皇帝による大規模な貴族粛清によって現政権に疑念を抱き、皇帝を倒すための革命軍の柱となった。
兵士たちの多くは平民だったが、皇帝が税を三倍にし、徴兵年齢と兵役期間を大幅に拡大するなどの暴政を振るったことで、貴族出身の英雄たちであっても支持された。
今のこの状況は、兵士たちの信頼を高めるために英雄たちが演じるショーだった。
明らかに戦いではあったが、四人の英雄にとってはただの演出に過ぎなかった。
彼らの強さは盗賊など容易く押し潰せるものだった。
盗賊など、攻撃的ではあっても気にするに値しない蜂のような存在だった。
英雄たちが盗賊と戦うのは、彼らが民を苦しめるからだ。
盗賊を討つことで、兵士たちは英雄たちの強さを肌で感じ、確固たる正義として信頼を寄せるようになる。
まもなく、その時がまた訪れる。
英雄たちは必ず盗賊に勝つ。
スラム街で日々喧嘩をして育った盗賊でさえ、かつて専門的な訓練を受けた英雄たちには敵わない。
「俺たちが英雄を殺るんだァーーーーーーーーーッ!!!!!!あいつらの金も全部奪ってやれェーーーーーッ!!!!!」
盗賊の首領の叫びとともに戦闘が始まった。
20人の盗賊たちはそれぞれ短剣や斧を手にして英雄たちに襲いかかった。
彼らが動き出して10秒ほどで、全員の身体が切り裂かれて倒れていた。
彼らはおそらく、自分が斬られたことさえ気づかずに死んだのだろう。
あまりにも一瞬の出来事だった。
瞬きより早く動いて盗賊たちを斬り捨てたのは、シノカガミの大太刀だった。
彼の体があまりに大きいため、刀を持つ姿は普通の人間が刀を握るのと同じに見えただろう。
彼の剣はあまりにも速く振るわれ、20人を切り裂いても血一滴すら付かなかった。
英雄たちはまばたきひとつせず、何も語らなかった。
反撃の番だった。
テンゴク・ワタシはハズヤリを、ザポはフランベルジュを、アンネビネはスティレットを抜き、突撃した。
兵士たちは英雄の背後を狙って屋根に登ってくる盗賊を迎え撃った。
続々と数十人の盗賊が襲いかかってきた。
どんどん強者が現れているようだったが、英雄たちに致命傷を与えることはなかった。
彼らの寿命を数秒伸ばした程度だった。
進軍は止まらなかった。
そのとき、何か速くて重いものがザポを襲い、彼は遠くへ吹き飛ばされた。
続いてテンゴクも攻撃されそうになった。
彼らを襲ったのは武器ではなかった。
人間だった。
砕石を埋め込んだかのように無骨に鍛え上げられた腕を持つ盗賊が、鎖を振り回していた。
鎖の先には女が縛られていた。
被害者ではなかった。
彼女も盗賊だった。
短剣を手ににやにや笑いながら、釣られた魚のように鎖と共に空中を舞う彼女は、まるで生きたモーニングスターだった。
先ほどまでの盗賊よりは強そうなデュオに見えた。
――だが、それはたった数秒の印象に過ぎなかった。
ガラガラと振り回されていた鎖が突然、切断された。
アンネビネのスティレットがそれを斬ったのだった(どうやって切ったのかは、英雄たちのみが知るだろう)。
鎖が切れた瞬間、女の頭は吹き飛んだ。
おそらく、山の岩か木に頭をぶつけたのだろう。
「姉ちゃああああああああああーーーーーーッ!!!!!!!」
鎖を操っていた男が叫んだ。
正確には、叫んでいる最中だった。
彼の胸にはすでに大きな穴が空いていた。
テンゴクがつけた傷だった。
残るは盗賊の首領ただ一人だった。
彼はクナイを投げた。
この時代、一団の首領になるには、英雄であれ盗賊であれ、強くなければならなかった。
巨大なクナイは空を切り、軌道上に嵐のような風を巻き起こした。
まるで大砲のような一撃だった。
そのクナイはシノカガミ、テンゴク、屋根に戻っていたザポをかすめ、死体からスティレットを回収していたアンネビネの胸に突き刺さった。
血が噴水のように吹き出した。
だが、アンネビネは死ななかった。
テンゴクが飛ばされた彼女を受け止め、止血をした。
飛行機も消え、人工知能や電子通貨も衰退した時代だが、すべてが退化したわけではなく、貴族は高度な医療知識を持っていた。
盗賊の首領は激しい戦闘なくシノカガミに捕らえられた。
彼は首領の髪を掴み、機関車の煙突に頭を押し込んだ。
叫び声と共に暴れる体。
やがて動きが止まった。
彼の頭を引き抜くと、まだ生きていた。
再び煙突に押し込んだ。
何度も繰り返すうちに、盗賊の首領の顔は黒焦げとなり、息絶えた。
シノカガミはその死体を列車の下に投げ落とした。
四人の英雄と兵士たちは運転室の窓を破り、車内へ侵入した。
機関士は驚愕の表情を浮かべた。
突然複数の人間が窓を破って入ってきたのだから、当然だ。
しかし彼の反応は驚きだけでは終わらなかった。
冷や汗を垂らしながらポケットから何本もの包丁を取り出し始めたのだ。
機関士が包丁を何本も持っている?
それを投げようとした瞬間、ザポが一瞬で制圧した。
ザポは素早く彼の服を脱がせた。
剥き出しの肌には無数の切り傷と、さっきの盗賊の首領の顔を模した刺青があった。
機関士も盗賊だった。
瞬時に、彼の頭には今までの傷より深く、広く、血が激しく噴き出すほどの傷ができた。
彼は頭を傾け、倒れた。
機関士も盗賊だったのなら、車内にはまだ仲間がいるかもしれない。
運転はザポに任せ、他の者たちは車内を調べた。
盗賊はもう残っていないようだった。
だが、別の「もの」が大量に詰まっていた。
口に猿ぐつわをされ、全身を縄で縛られた人々が車両のすべてにぎっしり詰め込まれていた。
盗賊に誘拐された人々だった。
見たところ、ほとんどがまだ生きているようだった。
ザポが列車を停止させ、兵士たちは彼らをすぐに解放した。
そのうちの数名は自らの意志で新たな兵士となることを選んだ。
だが人数が足りず、都市まで連れて行けば軍や警察に発見される恐れもあるため、仕方なく広大な森の中に彼らを残すしかなかった。
英雄たちと兵士は数日かけて隠れ家に戻った。
アンネビネの傷。
それは彼女にとって久々の重傷だった。
この状態ではまともに動くことすら難しかった。
彼女は隠れ家の奥深くで看病を受けることになった。
一ヶ月ほどが過ぎた。
アンネビネはまだ看病を受けていた。
英雄たちが率いる革命軍はその勢力を広げていた。
しかし問題が起きた。
キヨグフ王国の軍が革命軍の隠れ家の位置を突き止めたのだった。
それを突き止めるまでにかかった年月と流された血は、生涯をかけて数えるほどの膨大さだった。
王国のほぼすべての軍と警察が革命軍の隠れ家に向かった。
三千の火炎放射器が彼らに迫っていた。
兵士や警察が進軍している間も、革命軍はそれに気づかなかった。
そして突入の前日、病床のアンネビネを除いた三人の英雄が姿を消した。
隠れ家では常に兵士が交代で見張りに立っていた。
だが誰一人、英雄たちが出ていく姿を見ていなかった。
三人の英雄はアンネビネに何も告げず、別れの言葉もなく去っていた。
翌日、王国の軍と警察が隠れ家に突入した。
巨大な蟻の巣のように掘られた地下の隠れ家――通路も部屋も荷物も兵士も、すべてが焼かれた。
アンネ비ネと二人の兵士は非常口へ向かった。
重要人物の部屋に優先して作られた非常口のおかげで、彼らは生き延びることができた。
逃げられなかった兵士たちの中で生き残った者は尋問され、他の拠点の所在や英雄の情報を吐かされた後、全員処刑された。
数日後、アンネビネと二人の兵士を除いた革命軍は全滅した。
国家は再び現れるかもしれない四人の英雄を最初こそ指名手配したが、やがて方針を変えた。
記録抹殺刑。
革命軍に関する資料のほとんどを消し去った。
英雄たちの情報も完全に削除された。
たとえ彼らが再び現れても、かつての名声を取り戻すことはできないだろう。
アンネビネと二人の兵士は目立たぬよう流浪し、田舎の廃屋に身を潜めた。
近くの川や山で採れるものを少しずつ食べながら。
だが三人の英雄は戻らなかった。
その後、彼らの痕跡が見つかったのはただ一度だけだった。
ある日、アンネビネが暮らす廃屋の扉の前に、手紙が落ちていた。
その手紙を読んでみると――
革命軍が没落し、アンネビネと2人の兵士があの田舎に身を潜めてから、およそ8年の時が過ぎた。
この時点でも、3人の住処の近くに足を踏み入れた者は、今まで一人もいなかった。
「……この子も死んでるわね……」
廃屋の2階から女性の声が響いた。
アンネビネの声だった。
彼女は自分の目の前に倒れている灰色の死体を見つめながら言った。
廃屋の近くには川が流れており、その川には魚や亀が住んでいた。
近くには森もあり、そこにはリスやウサギがいて、様々な小さな果実も実った。
そこでは人が飢え死にすることはないはずだった。
だが、アンネビネと同行していた2人の兵士はその場所で飢え死にしていた。
アンネビネも実質的に飢え死に寸前だった。
彼女には、自分たちが飢える理由が分からなかった。
隠れて生きているということを除けば、それなりに耐えうる日々の連続だった。
廃屋は古く、2階の床には1階の天井へとつながる大きな穴が開いていた。
アンネビネは干からびた手で床を支えながら、その穴の方へと這っていった。
穴を通して1階の床を見下ろすと、そこには数年前に先に死んだもう1人の兵士の死体があった。
肉はなくなり、その死体は鎧と骨でできた、まるで岩のような物体になっていた。
田舎で何をどれだけ食べようとも、彼らの飢えは満たされることがなく、彼らは次第に無気力になり、重いものを運ぶことさえできないほどになっていた。
ある時から何をしても飢えが収まらなくなり、今やアンネビネは自分の死を受け入れようとしていた。
かつて絹のようだった彼女の髪はパサパサになり、肌は気味が悪いほどに青白かった。
かつて貴族であり英雄だった彼女に似つかわしくない姿だった。
だが、どうしようもなかった。
アンネビネはもはや足に力も入らず、骨のような腕を動かして部屋の隅へと這っていった。
そこでうずくまって死にたかった。
最近の彼女は眠ることが多くなった。
しばしば疲労感を感じていた。
今回も彼女は眠りについた。
(これが運が良かったと言うべきか悪かったと言うべきか……)
彼女はこのまま死んでいたかもしれなかった。
コンコンコン。
1階からノックの音が聞こえてきた。
「……??!」
アンネビネは目を覚ました。
死ぬ方法が処刑であるのはごめんだった。
8年間、誰かが自分を探しているのではと恐れながら生きてきた。
このノックの音は、彼女の神経を尖らせた。
処刑なんて、嫌、嫌よ!
アンネビネは思った。
心身ともに衰弱した彼女は、ドアの向こうの存在をキヨグフの捜索隊としか思えなかった。
それ以上の思考はできなかった。
今自分がいる場所で息を潜めることにした。
それが最善の選択だった。
どうか帰って、どうか帰って、ここには誰もいないと思って、勝手に入るのは危険だと思って……。
アンネビネは祈っていた。
今すぐにでもフッと倒れて死んでしまいたかった。
だが、今、体が少し軽くなったように感じた。
グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………………
アンネビネは震えていた。
ドンドンドン。
さっきより強いノック音が聞こえた。
ドアの向こうの存在が話し始めた。
「ホルノさん、いらっしゃいますか?」
くそっくそっくそっくそ……
アンネビネは思った。
ドアの向こうのその人物は自分を探していた。
アンネビネの死因が飢餓ではなく、絞首刑による頚椎骨折および神経断裂になる可能性が大きくなってしまった。
「誰もいませんかー?」
ドアの外の人物がまた声を上げた。
確かにいるはずなのに?
彼は思った。
もっと強くドアを叩いてみた。
「ホルノさーん?」
「えっと、アンネビネ・ペシェ…ス…あ、スパダ・アル・ホルノさーん?」
なんてしつこい男だ。
ドアは内側から鍵がかかっているようだった。
窓は2階にしかなく、窓から入るのは難しかった。
彼はここがアンネビネが潜んでいる場所だと確信していた。
男は悩んだ。
最後に強くドアを叩いてみることにした。
ドンドンドンドン……バキッ ドサッ。
あっ、男の力が強すぎたのか?
それともドアが古くなっていたのか。
男の拳がドアを突き破った。
男は廃屋の中に入る方法を知った。
ドアは古いため、強く叩くだけで穴が開く。
男はドアを思い切り蹴飛ばした。
漫画のようにドアが丸ごと吹き飛ぶのを期待したが、ドアは粉々に砕け散るだけだった。
男はアンネビネを探して家の奥へと入っていった。
アンネビネはパニック状態だった。
死にかけている人間の心情を、我々は知ることができない。
その時のアンネビネの心境は、誰にも理解できないものだった。
「えっと……ホルノさん、ちょっと強引にしてますけど、あなたを傷つけるつもりはないんですよ……」
男が言った。
「さっきも言いましたが、僕は軍人でも警察でもありません。そもそも彼らはあなたを探してすらいませんよ。あなたは知らなかったかもしれませんが、初代英雄たちは全員、記録抹消刑に処されたので……」
“さっきも言いましたが”?
アンネビネは思った。
もう、何がなんだか分からない。
恐怖で普通の思考が難しくなっていたからだ。
男は不安になっていた。
入り口で兵士の死体を見た。
自分がドアを壊して入ってきたにもかかわらず、家の中から他の声が聞こえなかった。
アンネビネはもう死んでいるかもしれない、という考えがよぎった。
それは困る、と男は思った。
アンネビネが死んでいたら、男にとってはとても困ることになる。
今すぐには話せないが、彼の人生そのものに大きな悪影響を及ぼすのだ。
アンネビネが生きていることを願い、彼は階段を上がって2階へ向かった。
2階にも死体が見えた。
かなり大柄な成人男性の体だった。
アンネビネはどこだ?
男は2階の部屋の扉を一つ開けた。中には何もなかった。
別の部屋の扉を開けた。中には何もなかった。
2階には居間のような空間があり、他に3つの部屋があった。
ドアは3つあった。
まだ倒れていないアンネビネ、さすがかつて「英雄」と呼ばれた者だ。
だがアンネビネは今、そのことが原因で狂いそうになっていた。
「ホルノさん、本当に今日はあなたを傷つけません」
男はそう言って、最後の扉を開けた。
アンネビネは渾身の力を込めて男の脚に拳を打ち込んだ。
すでに衰弱しきっていた彼女には勝ち目がなかった。
男の目が鋭く光った。
「ホルノさん、僕はあなたを傷つけに来たのではありません。僕の名前はプラ・クッキー。あなたに頼みたいことがあって来ました」
???????
アンネビネは混乱していた。
「ふうむ……僕とあなたが双方に利益を得られる、そんな話のために来たんです」
?????????
「あなたには一人の人間を捕まえてもらいたい。その代わりに、僕はあなたに今よりも楽な生活を保証します。もっとも、それでも隠れ続けなければならないけれど……」
男――これからはプラ・クッキーと呼ぶことにする――は、荷車を引いて来ていた。
荷車に載せたものをアンネビネに見せた。
荷車には10体ほどの死体が積まれていた。
「ええっと……僕の住んでる村はここ以上に田舎でしてね……これは最近うちの村で亡くなった人たちです……」
「おかしなことに……この死体は全員『誰かの攻撃』で亡くなったというんですよ……」
?????????
「8年前、王は革命軍だけでなく、革命軍が通過した場所に住んでいた人々……つまり目撃者もすべて殺してしまったんですよ……」
「でも、運が良かったのか、僕は処刑対象に含まれませんでした……まあ、目撃者を全員殺すことなんて不可能ですから……僕があなたたち……英雄と呼ばれていた頃に見かけたのは、あの場所に旅行で行っていた時のことだったんですけどね……」
「とにかく、これは静かに進めるべきなんです……」
アンネビネは少し落ち着きを取り戻していた。
今のところプラ・クッキーは脅威には感じられなかった。
プラ・クッキーはアンネビネに死体の腹部を見せた。
傷があった。
その傷はかなり凄惨だった。
重いもので押し潰されたように、深く凹んでいた。
荷車に載っていたすべての死体が同じような傷を負っていた。
「あなたなら、誰がこの傷をつけたのか分かるはずでしょう……」
……………………!!!!
アンネビネは突然、頭が冴え渡るのを感じた。
彼女には、このような傷を負わせられる人物が誰なのか分かっていた。
その名は、ジュダサ・ラシク。
その兵士は、かつて初代英雄たちの最側近だった。
アンネビネと、すでに亡くなった2人の兵士以外のすべての革命軍は処刑されたと考えられていた。
他の英雄たちの行方は不明だった。
彼は生き延びたのか?
生きていたとして、なぜこんなにも多くの人々を殺したのか?
彼もまた身を隠さなければならなかったはずなのに? なぜこんな大きなことをしたのか?
「昔、あなたたちの部下の一人が、盗賊にこんな傷を負わせていたのを見たことがあります……その時、その兵士と瓜二つの奴が現れて、僕や村の住人たちを殺そうとしたんです……僕も腹に傷は負いましたが、比較的小さかったので助かりました……」
「その兵士、昔見たときはずっとあなたたちのそばにいましたから、今の時点でも覚えていらっしゃると思いまして……」
「過去のあなたたちの兵士で、かなりの地位にあったと思われる……ぼさぼさで汚れた金髪、濃い眉毛、顔に……口だったかな? とにかく顔に傷がある、背が高くて筋肉質の男がいませんでしたか? 少なくとも2メートルはあったように見えました……」
プラが語ったその男の姿は、まさにジュダサ・ラシクそのものだった。
「記録抹消刑が下された今、革命軍の痕跡……生存者も含めて……そういったものが見つかったら、この国はその痕跡も目撃者もすべて消し去ろうとするでしょう……この国王は、革命軍粛清の頃から本当に狂っていて……」
「僕の家族が住む村で起きた出来事なので、下手をすると僕を含めて、大切な人たち全員が首を飛ばされる危機に直面しているんです……とりあえず、人が死んだことは唯一の生存者である僕が報告していませんが……やっぱり不安なんですよ……」
「今は体調が相当悪いみたいですが……その原因は呪いのせいだと思います……僕は超自然的なものは信じていないんですが……他に表現のしようがないんです……」
?????????
アンネビネはまた混乱していた。
「うーん、複雑ですね……とにかく、場所を移しましょう。僕が安全な場所までお連れします」
???????????
To Be Contunued...
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