元3年2組担当教師の取材(ボイスレコーダー)

昭和██年 3年2組担当教師

あーこの卒業文集のことね。32人中8人の生徒がゆりえという存在しない生徒の名前を文集中に書いていたのよねぇ。


私も昔のことだし歳だから覚えてる範囲だけど、「良い思い出ね」って思ってそのまま文集に載せたのよねぇ、


これは本当にいい思い出だって、ほんと不思議よねぇ。



平成██年 3年2組担当教師

生徒全員の卒業文集をみて、ゆりえの思い出を書いてる子が何人かいたのは覚えてる。


存在しない女子生徒とのことをなんで書くんだって言おうとも思ったけど、何故か


「この子の存在は忘れちゃいけない」


みたいな思いになったの。


なんかそのうち他の生徒の文集を見ているうち、ホントにいたように感じてしまって、何故か涙ぐんだのを覚えてるわ。


学校を退職してから、自分が存在していない生徒に対して涙したのを今でも恐怖だわ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る