第3話 仕留めるビジョン


私の名前はカリナ・ノーヴァ・幸奈。

お父さんがイギリス人でお母さんが日本人のハーフ。

私はさっき別れた彼を見届けてから電車に乗る。

そして胸に手を添える。

そこにはロケットペンダントがある。


「...ふふ」


ロケットペンダントを開くと中に幼い頃の私と彼が写っている写真が小さく切って入れてある。

私の大切な宝物である。

このロケットペンダントは彼が幼い頃に私にへと射的でとったもの。

おもちゃのペンダントだけど...宝物。

私はこのペンダントが世界で一番大切だ。


「それにしても」


私はあの落胆した顔が気になって仕方がない。

今までに見た事のない落胆だった。

まるで日本全国の決勝大会に敗退した様な。

そんな感じの顔だった。

何故あのような顔を浮かべていたのだろう?


「...でもまなちゃんは気にするなって言ってたしな...」


胸が締め付けられる。

だけどまなちゃんが気にするなって言っているから。

でもなぁ。


「いけない。沼に嵌りそうだ。えーっと」


頭の中で数学を計算していく。

素因数分解でも頭に浮かべたら良いかな。

そう考えながら私は素因数分解を浮かべて考える事にした。

えっと。



彼女が俺を好いている可能性。

まあでもありえないか。

俺は学校に向かいながらそう思う。

それから歩いていると「おは」と声がした。

顔を上げるとそこに矢島月(やじまつき)が立っていた。

俺を見ながら笑みを浮かべている。


短髪のボーイッシュな女子高生である。

そばかすが特徴的な感じの。

同じクラスの友人だ。

俺を見ながら「やあやあ。悩んでいるようだね。少年。どしたの?」と聞く。

その言葉に「よく分かったな」と苦笑いを浮かべた。


「そりゃ毎回こうして会っている訳だからねぇ」

「でも俺の悩みを読み取るお前は凄いよ」

「そうかな?」

「そうだ。...まあその。テストで悩んでいてな」

「あ、そうなんだね」

「...どうしようもない悩みだよ」


それから「行こうか」と月に言う。

すると月は「だね」と笑みを浮かべて鞄を後ろにして歩き出した。

俺はそんな月を見ながら苦笑して歩き出す。

まさか言える訳が無い。

元嫁を傷付けるつもりで居るという事を。



俺は学校に来てから教室に来る。

「...何も変わらないな」と呟きながら10年前の景色を見る。

それから月と別れてから椅子に腰かけた。

そして算段を考える。


どうあれ。

俺は嫁を社会的にも仕留めるつもりだ。

散々愛情を入れたのに突然裏切り俺を殺したあのクソ女をのうのうと野放しにする訳にはいかない。

そう考えながら俺は眼を鋭くしながら前を見る。

するとチャイムが鳴った。


「おはようさん。...皆居るか?」

「「「「「おはようございます」」」」」


担任の瀬川が入って来る。

俺はそのけだるそうな瀬川を見ながら窓から外を見る。

どこに居るか知らんが。

必ずお前を見つけ出してやるからな。

覚悟しろ。



そして放課後になってから月は部活に行った。

俺はその月を見送ってからそのまま帰宅する為に表に出る...と。

何故か校門前が大騒ぎになっていた。


「見ろよあの金髪...」

「すっげぇ美人」

「prprしたい」


気持ちが悪い声が1つあるが。

そんな事を気にするより早く俺は動いた。

それから人込みをかき分けるとそこに何故か幸奈が居た。

俺を見てから「あ。まなちゃん」と言ってから寄って来る。


「おま。なにを?!」

「迎えに来たよ」

「...迎えか...いや。迎えって言うな」

「え?帰ろうよ。私達の家に」


周りの男子も女子も「へ?」となっている。

そして顔を見合わせてから「なんだアイツ...」とか「金髪美人にふさわしくない...」とか嫉妬の声が聞こえる。

すると幸奈が最後にトドメを放った。


「あんな事もあったし...抱きしめてくれたよね」

「...」


周りがオーバーヒートした気がした。

俺を見ながら「アイツ...」とかを言い放ち血涙を流している。


※誤解されます。


そう思いながら俺は「も、もう行くぞ。な?幸奈」と言う。

鈍感があまりに凄まじい。


「うん」

「...お前な。人前で抱きしめたとか言うな」

「え?なんで?」

「殺しにかかっている」

「え?」


キョトンとする幸奈。

駄目だこれ...重症極まりない。

俺は額に手を添えながら「まあいいや。行こうか」と幸奈に言う。

すると幸奈は「うん。あ、せっかくだし買い食いしない?」と言ってくる。

は?


「買い食い?」

「うん。コンビニでね。アイスを買うの」

「...ああ。そういう」

「うん。チキンバーも美味しいし」


まあ確かにな。

物価高いからプチ贅沢とはなる。

でも一度しかない青春だ。

今満喫しないと後悔するだろう。

そう考えながら俺は「分かった」と返事をした。


「じゃあ行こうか」

「だねぇ」


それから俺達はコンビニに向かう。

そして店内に入ってから各々買いたいものを買ってからイートインコーナーに行く。

椅子に幸奈を座らせてから俺は対面に腰かけた。

俺はチキンボールやアイス。

幸奈はお菓子とアイスを買った。

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嫁に恐らく不凍液を飲まされ?俺は殺された様だ。そしてタイムリープした。ありえない...殺してやるよ 楽(がく) @tanakasaburou

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