廃線

瞬きもしないで見つめている

群青のひろがり

雲の貌を変えてゆく


雨の滴がはじける

人の子のように

幾筋も線を描く滴を追いかけてみたい


菊は満開

重そうに揺れて

霜月の枯淡


彼らは走ってこない

待つことをやめられない

遠くからこだましてくる鉄の輪の轟きを


雪の白練は私の錆を蔽い

南天の朱は平らかな地を彩り

猫柳はふくらんで


そうして路肩の桜並木が

花を散らせ

私の枕木を退染にする


私の目線の向こうで

子供達は歓声を上げ

花びらを集めては風に踊らせる


群青の天

桜色

日の光に舞う

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る