俺のことを友達としか見れないと言ってくるボーイッシュな幼なじみが俺に言い寄ってくる子がいると知ると女を見せてくるようになった件
伊良
第1話
俺の名前は
「僕のアイス、半分あげるよ」
そういって、彼女は半分に割ったアイスを俺に手渡してきた。しかし、そのアイスはキレイには割られていなかった。俺のほうが少しだけ小さかった。そんなことを俺は思っているとは思っていないだろう静は楽しそうにアイスにかじりついている。
「なあ、静。俺にくれたアイスが少しだけ小さい件についてだが」
「え、文句言ってる?そんな子にはあげませんよ?」
そういって俺のアイスを没収しようとしてくるので先にアイスにかじりついてやった。その姿を見て彼女は楽しそうに笑った。その姿は光り輝くひまわりのようだった。
「文句言ってたのにたべるんだねー?黙って食べるがいいよ。なんせ、僕のおごりなんだからね」
「ははぁーー。静様…ありがたく頂戴させていただきまする」
「よかろう、よかろう」
そういって、彼女は上機嫌にスキップした。俺の先をいく静のスカートが風になびく。俺と静は幼馴染で恋愛感情はない。中学校では散々に夫婦だのカップルチャンネルだのいじられてきたが、即座にこの関係には恋愛感情はない。そう言いきれていたというのに。今の俺は……。
「おっそい!はやく、悠人の家でゲームしよ。今日こそは勝つんだからね」
そういって、じたばたと急かす静ちゃんを俺は少なくとも可愛いと思ってしまっている。嘘だ。かなうなら、ちょろちょろと動く彼女の手を握りたい。
でも、彼女には俺に対する恋愛感情はないのだ。そんなことは分かっている。おれがもし、この気持ちを打ち明けたとしよう。
『静、手をつないでもいいか?』
『いいよー?え、何照れてるの?もしかして僕のこと、そういう目で見てるの?ごめん、僕……』
そういって逃げられるに違いないのだ。そうなるくらいなら俺はこのままの関係でいい。そう思っていたんだ。でも最近の俺は……。静がかわいくみえて、俺のものにしたくてたまらないのだ。
だから、俺は時々、こうして彼女が恋愛感情を抱いているのか、確認したりする。
「もうおなかいっぱいだ。静、食べてくれるか?」
そういって、俺が一口食べたアイスを差し出してみる。すると、静は一つも躊躇することなく、俺の手まで食べるほどの勢いで食べた。
彼女は恥ずかしがることなく、食べたのだ。いや、よく考えたら間接キスでドキドキしている俺がおかしいのか?いや、それとも静が手慣れなのか?いやそんなはずは……。
「…ん?どした?悠人」
そういって、彼女は自分の口周りについたアイスを舌でなめとった。その姿は艶めかしく、俺の本能をくすぐる仕草で俺の理性はとうになくなりかけていたが、ぎりぎりで耐えた。
「何でもない。それに俺たちがやっているのはスーパー〇リオブラザーズで勝つとかはないから」
「いや、私が悠人をつかんで投げるんだから。でね?私が先っちょにゴールするんだから」
「…先っちょね」
「うん!」
彼女は屈託のない笑みで笑った。少しでも変なことを考えた俺を殺してくれ。ワンワンみたいに俺を釘で打っといてもらわないと静の残機を減らしてしまうかもしれない。
「じゃあ、静は他責マリオをやめないとね」
「それでも間に合わないか、この命……」
そんな某ようつべばーの内容を真似しながら帰った。
こんな風に俺は彼女との日々を過ごしていたのだが、俺が彼女のことに一歩踏め出せないとある人に相談することになるのだが、そこから俺たちの運命は変わっていくことになる。
『静ちゃんに自分が恋しているってことを気づかせてあげればいいんだよ』
こんな提案が起こるとは。
◆◆
新連載です。
最近はコハロントーキョーさんにはまってます。みんな見てみてください。
星が欲しい。
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