Ep.1:#7 空色縞瑪瑙-Blue Lace Agate-

(お姉さんになら…話せるかな)


「あのね…実はね」口にしかけたけど、言葉が止まる。

(やっぱり…迷惑かな)顔をふせてしまう。


そんな私を見て、お姉さんは表情をやわらげたまま、静かに言った。

「ゆっくりで大丈夫。無理に話さなくてもいいよ?」


私は、ストーンたちを そっとトレーに戻した。

それから、両手でグラスを包み込むように持ち、視線を落としたまま、ポツリとこぼす。


「学校……前は楽しかった」

「うん」


「でもね……今は、楽しくないの」

「……そっかぁ」


「私ね、友達とか、すぐ叩いちゃうの」

お姉さんは否定をすることもなく、首をかしげて返してきた。

「……叩いちゃう?」


私はうつむきながら続けた。

「うん。何か言われたとき……ムカッてして言い返したくても、言葉が出てこなくて。叩いちゃダメって分かってても…さきに手が出ちゃう」

「そうなんだ……それで、何かあったの?」


「……うん。仲のいい子、怒らせちゃった。」

お姉さんは ゆっくりと言葉をかけてくれた。

「難しいよね。思ったことをそのまま言えたら楽なのに、なかなか出てこなかったり、うまく伝わらなかったり……」

「うん……」

お姉さんの静かで、あたたかい声が私の中に、すーっと染みこんでいく気がした

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