この小説の、論評は、非常に難しい。
この作者の感じている「膜」と言う感覚自体、この私が、地獄の高校生時代、級友や通っていた高校そのもののに対して抱いていた感覚と、何処となく似ており、読んでいて、
「成る程なあ、このジジイにも、若い時、確かにそう言う時期があったなあ……」とは、簡単に言えるのですが、
こと、この小説の論評や評論、ましてやレビューを書くとなれば、実に、難しい小説だと思います。
哲学的に突き詰めれば何処に自己のアイデンティイが有るのだろうかの「実存哲学」に辿りつくだろうし、
これを純文学的に表現すれば「私小説の極北」に位置するだろうし、
精神医学的に見れば軽い心気症(ヒポコンデリー)か離人症にもなりかねかねない紙一重の状況にあるのは、痛い程分かるだけに、
だからこその、難しさなのです。
SF漫画やSF小説の世界で言う、外敵を追い払う「バリア」のような存在を感じ、作者は苦しんでいます。そのように読めるのです。
ですが、最期の一文では、その「膜」の先に、「光が宿る」とある事からも、やがてはこの問題は、作者自体によって、解決されるだろうとの一縷の希望が見えるのです。
「読み易いが、非常に難しい小説」だと論じて、私のレビューと致します。
(正直な話、このような書き方をしたレビューは、これが最初ですよ……)