咎に只、炎陽は燦々と

ほかほかアマゾネス

第1話 嵐の中の共犯者

海はおえん。漁師にバレる。


やっぱり山しかねえ。


なら命桷いのずみ神社の裏山がええ。二年前に神主のじいさんが死んでから誰も立ち入るもんがおらんから。




横殴りの暴風雨が叩きつける中、深く深く掘った穴に、二人は黙々と土を被せていく。


不意に、濁ったその目と航の目が合った。

航は喉奥から掠れた悲鳴を上げ、それから目を閉じて小さく息を吸い込み、また穴を埋めていく。

泳斗は感情の無い目で航を一瞥し、また作業に戻った。


土を被せ、なるべく均して、自然に見えるよう野草を被せる。

全てが終わった瞬間、航はシャベルを取り落とすと膝から崩れ落ち、汚れた手で顔を覆うと赤子のように泣きじゃくった。


嗚呼、何で。何でこんなことに。


泳斗は唇を真一文字に結び、土に汚れた両腕で少年の細い身体を力強く抱く。

違う体温を感じながら、不意に泳斗の肩越しに海が見える。

荒れ狂う波が自身を責め立てているように感じて、とても恐くて、航は何も見えないように泳斗の胸に顔を埋めた。


吹き荒ぶ嵐の中、小さな共犯者達の姿を、誰も見つけることは無かった。

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