Ⅹ東洋

 東洋から来た流派が見受けられる。

 シンデレラは、和の国から来たという格闘家と話し合っていた。

 彼は、誠という名前であり忠勝と同じ和の国から来たものだった。

 色々と話し合って分かったが、武闘会は武闘だけではなく演舞や舞の出場もあるとのことだった。

 現在ギュネスと話している、ジュアンの流派は演舞を披露するための出場だ。

 そのため、五人と他と多い。

 和の国から来た誠の流派、心眼派は弓矢で出るとのことだ。

 「だから、オウマ派は武闘で出るからあの蹴鞠派と戦うかもな」

 蹴鞠派と言われたのは、先ほどシンデレラが最初に観察した長身の男たちのことだ。

 彼らは蹴りを主体とした流派であり、全員が長身なのは偶然らしい。

 「蹴鞠派とは合同で稽古することもあるから、ある程度知っているんだ」

 「そうなのか。俺らの流派はそうした出稽古ないからな」

 「オウマ流派はあまりないと聞くな」

 なぜ出稽古や、交流が無いのかは分からない。

 当時の先輩に聞いたことがあるが、修練内容や鍛錬内容の流出を避けるが理由だったが。

 しかし、実態は不明だ。

 流派や道場によっては、活発な交流をすることもあるが。

 それも、その道場の師範によっての裁量でしかない。

 

 忠勝と心眼派の一と話していた。

 同じ和の国から来た者同士どこか波長があったのだ。

 「彼シンデレラだっけ? 結構噂は聞いているぞ」

 「実際かなり強いんだ」

 「あのオウマ様の修練をつけてもらっているって凄いじゃないか」

 忠勝はおくびにも今までのことを表情に出さずに話していた。

 はたから見ればオウマはかなりの実力者でもある。

 格闘家からは尊敬の眼差しを向けられるが、身近にいる存在のものたちにとっては恐怖でしかない。

 何よりも自分の息子を殺した男。

 だが、忠勝は何も言わずに曖昧に笑い誤魔化した。

 「忠勝殿は武闘で出るんだろ?」

 「ああ。三体三になるだろうな」

 「あの、蹴鞠派だろうな」

 「そうだろう」

 蹴鞠派は先ほどの長身の男たちだ。

 一番ごついのとアキラが何か楽し気に話している。

 少しそのギャップに驚くが、案外あのごついのはアキラと同じような男じゃないだろうか。

 そのほか二人は別で話している。

 (細いな、あいつ)

 ごついのと比べたらもう一人は細い。

 しかし、もう一人の男はかなり華奢に見えた。

 長身瘦躯という言葉がぴったり当てはまるような男だ。

 しかし身のこなしや、肉付きを見るとかなりの筋肉量だろう。

 ぴし、とした姿勢の良さと立ち姿は体幹がかなりしっかりしていると見受けられた。

 格闘する、という機能に全てを捧げた筋肉だ。

 (シンデレラと同じような肉付きだな)

 忠勝はそれとなく観察した。

 (シンデレラは?)

 目を向けると王子と話していた。

 

 

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