僕の家は忙しい

東井タカヒロ

我が家

 我が家は忙しい。常に誰かが何かをしている。

 今も、僕が弟に勉強を教えている。

「クソ兄ちゃん、ここ分からねぇ」

「ここは――」

 正直クソは余計だし、多少なりともムカつくが、そんなことで怒る兄ではないのだよ。

 そんなことで怒っていたらキリがないからね。

「なぁ――阿保弟共、私のスマホ知らねぇか」

「知らないよ」

「知らねぇよ、馬鹿姉貴」

 生憎だが、僕は姉に対して一切の敬意を示していない。

「そうか、知らないか。後、馬鹿付けんな」

 僕は覚えているぞ。僕の買ってきたお菓子を食べたことを。

 その点、姉貴より僕は賢いと言えるだろう。

「なぁなぁ、クソ兄ちゃん。姉貴ってなんであんな――」

「良いかい?言っちゃいけないんだよ?」

 何を言おうとしたかは知らないが、どうせろくでもないことだ。

 僕の弟のことだ。絶対ヤバいこと言うはずだ。

 それを馬鹿姉に聞かれてみろ、多分、原型を留めないだろう。

「良いかい?弟よ。世の中には心の中にしまっておくのも大事なんだぞ?」

「……分かった!クソ兄ちゃん!」

 うん!ぶん殴りたい。

 理性って素敵だな……。

 ……やっぱりムカつくな。

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僕の家は忙しい 東井タカヒロ @touitakahiro

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