雲の王国 ~The Kingdom of Cloud~

こうち

プロローグ「神の夢」

「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、 彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」

(ヨハネの黙示録 21:3-4)  



 

  初めに、神が天地を創造した。地は茫漠として何もなく、地の霊が水の面を動いていた。

 

 神は仰せられた。「光あれ。」すると光があった。

神は光を昼と名付け、闇を夜と名付けられた。宇宙と星の創造、第一日。


 神は仰せられた。「大空よ、水の真っ只中にあれ。水と水の間を分けるものとなれ。」

神は大空を造り、天と名付けた。天の下にある海と、天の上にある水を分けられた。海と空の創造、第二日。


 神は仰せられた。「天の下の水は、一つの所に集まれ。乾いた所が現れよ。」

神は乾いた所を地と名付け、水の集まった所を海と名付けられた。


 神は仰せられた。「地は植物を、種のできる草や、種の入った実を結ぶ果樹を、種類ごとに地の上に芽生えさせよ。」

陸と植物の創造、第三日。


 神は仰せられた。「光る物が天の大空にあれ。昼と夜を分けよ。定められた時々のため、日と年のためのしるしとなれ。」

神はそれらを天の大空に置き、地の上を照らさせ、また昼と夜を治めさせ、光と闇を分けるようにされた。太陽と月の創造、第四日。


 神は仰せられた。「水には生き物が群がれ。鳥は地の上、天の大空を飛べ。産めよ、増えよ。海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」

空と海の生き物の創造、第五日。


 神は仰せられた。「地は生き物を種類ごとに、家畜や、這うもの、地の獣を種類ごとに生じよ。」

地を生きる全ての生き物の創造。


 神は仰せられた。「さあ!人を我々のかたちとして、我々の似姿に造ろう!」

主なる神は、土(アダマ)の塵で、人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。

 神は人を、ご自身のかたちとして創造された。神は彼らを祝福された。

「産めよ。増えよ。地に満ちよ。地を従えよ。」


 神はご自分が造った全てのものを見られた。見よ、それは非常に良かった。神の栄光のかたちの人間の創造。第六日。

 

 こうして、天と地と、その万象が完成した。神は第七日に、なさっていた業を完成し、この日を聖なるものとされた。


 神である主は、東の方のエデンに園を設け、そこにご自分が形造った人を置かれた。神である主は、その土地に見るからに好ましく、食べるのに良い全ての木を、そして、園の中央にいのちの木を、また善悪の木を生えさせた。

 

 神は人に命じた。

「あなたは園のどの木からでも思いのまま食べて良い。しかし、善悪の知識の木からは食べてはならない。その木から食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」


 さて、神が造られた生き物の中で、蛇とか竜とか、サタンとか呼ばれている生き物が、一番賢かった。

蛇は言った。

「エバ、エバ。神はここにある木はどれも食べてはならないと仰りましたか?」


 エバは答えた。

「私たちはどれでも自由に園の木の果実を食べて良いのです。しかし園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないから、と神様は仰りました。」


蛇は女に言った。

「そのようなことはありません。それを食べれば、目が開け、神のようになれることを神はご存知なのです。」


 エバが見ると、その木はいかにも美味そうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。

エバは実を取って食べ、一緒にいたアダムにも渡したので、彼も食べた。 2人は自分たちが裸であることを知った。


  その日、風の吹くころ、主なる神が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムとエバが、主なる神の顔を避けて、園の木の間に隠れると、 主なる神はアダムを呼ばれた。

「どこにいるのか。」


アダムは答えた。

「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。私は裸ですから。」


「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」

「あなたが私と共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」


神はエバに言われた。

「何ということをしたのか。」

 

「蛇が騙したので、食べてしまいました。」


  神は、蛇に向かって言われた。

「このようなことをしたお前は、あらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で最も呪われるものとなった。お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。お前と女、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き、お前は彼のかかとを砕く。」




「―見よ、わたしはすぐに来る。」

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