第3話 1848年の革命

翌年、ピーボディはロンドン市のムアゲート31番地に金融会社を設立した。





投資家「で、どんな商売はじめたの?」


ピーボディ「資産運用のアドバイザーです」


投資家「儲かってる?」


ピーボディ「それが、ぜんぜんお客さんが来なくて」


投資家「あらら、じゃあ貧乏なの?」


ピーボディ「は、はい。残念ながら、どん底です」


投資家「やっぱりよそ者がロンドンで成功するなんて、無理なんだよw」


ピーボディ「……」





時は流れて、1848年。


ヨーロッパに革命の嵐が吹き荒れた。





人々1「いや~。革命の嵐が吹き荒れてるね」


人々2「革命?」


人々1「うん」


人々2「知らなかった。どんな革命?」


人々1「二月革命とか三月革命」


人々2「なにそれ」


人々1「話せば長くなるけど、簡単にいうと、ウィーン体制が崩壊したのさ」


人々2「ウィーン体制って?」


人々1「まあ、わかりやすくいえば、王様や地主階級が政治をする体制のことだね」


人々2「ふうん」


人々1「そういう体制に反対する人たちが、今回の革命で暴れ回ってるんだ」


人々2「へぇ~。でも、おれには関係ないや」


人々1「なんで?」


人々2「おれってほら、金持ちでしょ。時代がどう変わっても金があれば生きていけるから。世の中がどうなろうと関係ないよ」


人々1「その考えは甘い」


人々2「え?」


人々1「最近の革命思想は過激でね、私有財産を廃止する考えもあるんだ」


人々2「ええ~!?」


人々1「つまり君の財産は没収されるかもしれないってこと」


人々2「それはまずいな」


人々1「まずいでしょ」


人々2「どうしたらいい? 教えて」


人々1「財産を避難させるんだ」


人々2「どこに?」


人々1「ヨーロッパ革命の嵐がとどかない場所へ」


人々2「っていうと?」


人々1「アメリカ合衆国」


人々2「アメリカか……」


人々1「うん。アメリカへの投資っていう形で財産を避難させればいいよ」


人々2「なるほど」





1848年。


ヨーロッパの富豪たちは財産の避難場所としてアメリカを選んだ。




ここは、ピーボディの会社。


投資家「ピーボディさん、あれから調子はどう?」


ピーボディ「急に仕事が増えて、大儲けしてますよ」


投資家「そうなの!?」


ピーボディ「最近、アメリカに投資する人がやたら多くて、みんな僕のところへ相談に来るんです」


投資家「そうか、君はアメリカ人だから、適任なんだね」


ピーボディ「かなり儲かったので、この辺で引退しようかと思ってます」


投資家「え、引退!?」

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