新・薄幸のウサギは最強魔術師に溺愛される。
長月そら葉
序 昔話
今から丁度十五年前、メリフェリア王国は近隣国と戦争をしていた。
魔法と魔法がぶつかり、剣と剣が火花を散らした激しい戦いの中、数え切れない命が永遠に喪われた。
多くの人々が戦いの終わりを望む中、たった一人の少年が魔法を使った。
少年の魔法によって、人々は戦意を喪失した。敵味方関係なく、人を傷つける力の全てが封じられたのだ。
少年はその小さな体に収まり切らない強大な魔力を持ち、いつでも世界を幾つか消滅させることが可能だと噂される末恐ろしい子どもだった。
人々は戦いを止めた。世界が失われれば、生きるも死ぬもない。何が大切なのか、ようやく気付いたのだろう。
少年は世界を滅亡から救った英雄として讃えられ、最強の魔術師の称号が与えられた。
弱冠五歳の子どもには、大きすぎる称号だった。
少年はその後、王国に保護されて育つことになる。親元を離れ、最高の教育を受け、自ら魔力を扱うための研鑽を積む。
やがて少年は、名実共に王国最高位の魔術師として名をはせるようになる。
世界は、そんな少年の存在に畏怖した。国々は競ってメリフェリア王国の傘下に入ろうとしたが、王は首を縦に振らない。結局国々は同盟を結び、無意味な戦争を二度と起こさず知恵で交渉していくという運びとなった。
そんな時代から、十五年。
これは、戦争の後に芽吹いた一人の少女と青年の物語。
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