地球上の動物の中で、一番人間が何でも喰う生き物らしい。
身の回りの変哲もない食べ物であっても毒を含んでいるものは案外多い。
ネギやチョコレートなんかは言わずもがなだし、フグなんて凶悪なものまでなんとかして食べてしまうのが人間。
翻って、この物語ではごくごく常識的なものを食している。
なんならすごく美味しそう。
しかし彼らは涙を流す。
それを供する者と食す者、それぞれがそれぞれの思う涙を。
おおよそ生命は他の生命を「頂いて」生きている。何人たりともこの業からは逃れられない。ヴィーガンだって同じだ、植物なら殺していいなんて誰が決めたんだ、どっちも等しく生命だよ──
さて、人間は矛盾だらけだ。
可愛いと小鳥を飼いながらでも、同じ屋根の下で焼鳥喰うのが人間だ。
そこは否定するまい、なんのかんの言っても人はその時々の都合で要領よく生きていかなきゃやってられない生きもんなんだよ。
全生命の中で多分人間が一番矛盾を抱えて生きている。
本能に忠実に生きる野生動物は考えることをしない。
殺すな、犯すな、奪うな。
その三原則の枠の外にいる、矛盾のない美しい生き物たちだ。
人間は、その本能が壊れている、矛盾を抱えた生き物だ。
だからこそ、人は涙を流すことを言い訳に生まれ、生きていかねばならないのだ。