断罪から始まる、最優の騎士へ
ちゃま
第1話
――気がついた時、俺は処刑台に立っていた。
ざわめく民衆、裁きを下す貴族たちの冷たい眼差し。
そして、鋭く突きつけられる断罪の言葉。
「レオン・ヴァルトシュタイン。貴様は王国に仇なす禁忌の魔を招き入れ、無辜の民を犠牲にした……その罪、万死に値する!」
「……は、はは……なんでだ……なんで……!」
俺は――負けたのだ。
それまで誰にも負けたことがなかったこの俺が、見下していた平民出の男に敗北し、プライドも尊厳も打ち砕かれた。
そして、愚かにも――“悪魔”と契約してしまった。
力を得たつもりだった。
だが、力に呑まれ、俺は“人”をやめた。
全てを壊し、全てを失い、最後に残ったのは……処刑台の冷たい鎖だけだった。
(あぁ……あれか……)
断罪の言葉を聞くその瞬間、ようやく俺は思い出した。
――これは、俺がかつてプレイした“乙女ゲーム”の世界。
そして俺は、その中で断罪される“悪役貴族”だった。
(……なら)
(やり直せるのなら……今度こそ……!)
◆
「――レオン様。お目覚めですか?」
目を覚ました俺に声をかけたのは、見慣れた侍女・リリィだった。
差し込む朝日と、静かな部屋。そしてまだ柔らかな身体の感覚。
(戻ってきた……)
ここは三年前のヴァルトシュタイン伯爵家。
断罪の未来が訪れる、ちょうど三年前――俺がまだ十二歳だった頃だ。
「なあ……俺、今いくつだ?」
「はい? ……十二歳でございますが……何か」
(やはり……間違いない)
そう確信した時、俺の中で何かが決まった。
(あの未来を繰り返すわけにはいかない)
(俺は、変わる)
(――今度こそ、“本物”の強さを手に入れる)
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