眼鏡君と歌姫先輩

真空

第1話


どうして人は生きるのか?

誰しもがそれを考えるだろう。


この僕、呪内じゅない無九郎むくろうは高校2年生にもなって、そんなセンチメンタルなことを考えていた。


いや年齢なんて関係ないのかもね。

人は常に自分の存在理由を考えている。

誰かに認められたいだとか、誰かよりも優位に立ちたいだとか、人それぞれだ。


でもおそらくだけど、それを考えるときは決まって、自己を改めるきっかけがあったからだろう。


では僕には一体何があったのか。

それを今から語ろうかと思う。


今僕は文芸部の部室で昼寝をしている。

時刻は昼休み。

睡眠には最適の時間と言える。


さらにこの部室には偉大なる先輩が寄贈してくれた、特注のソファベッドが設置されている。

偉大なる先輩、確か6世代上の華美権太≪かび ごんた≫先輩には足を向けて寝れないだろう。


そう、僕はこうして昼休みになると、決まって部室にやってきては昼寝をする、というのがこの高校に入学してからのルーティーンになっているのだ。


ちなみに僕はこの高校に友達がいない。

自称陰キャ眼鏡オタクだから当然だ。

前髪も長く、他人から薄気味悪い印象しか与えないだろう。


だがむしろ僕はそれがいいと思っている。


今では絶滅危惧種とされるビン底丸眼鏡こそ、僕のチャームポイントと言っても過言ではないんじゃないだろうか?


そんな僕だからこそ、友達ができないんだろうね。


まあ、そんなことはどうでもいい。

ここ最近僕のこの理想郷に我が物顔で踏み込んでくるやつがいる。

僕のこの癒しの時間を邪魔する…


───とかだったら許さなかったところだ。


だけどその人は、僕のこの憩いのひと時をより一層素晴らしい時間にしてくれた。


その時、誰かの足音がこの部室に向かってくる。

噂をすればなんとやら。

学校の人知れない隅に位置するこの部屋に来るのは、しかいない。


さあ、歌姫先輩とのご対面だ。

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眼鏡君と歌姫先輩 真空 @vacuum0202

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