遠い過去の決断
※ この話は全て会話文のみです
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「今年の冬も、なんとも生暖かい……これでは、また不作になる」
「どうする……また、女子を見売りするのか?」
「無理じゃ、無理じゃ」
「そうだ、不作はここだけではない」
「隣村も、その隣の村も不作だ、どいつもこいつも痩せ細っとる」
「去年ですら、ずいぶんと安く買い叩かれた」
「そうだ、この村では一番の器量良しだったのに……」
「なんとか食いつないでこれたが、あの時よりも状況が悪い」
「そうじゃ、そうじゃ」
「間違いなく、去年よりも安く買い叩かれるだろう……」
「少しでも食わせて、肥えさせるか?」
「焼け石に水だ、村のやつら全員、骨が浮いているのだぞ」
「うむ……そもそも、肥えさせるだけの食い物がもう無い……」
「川を下って、魚を取りに行くか?」
「冗談ではない、あそこの警備は厳重だ」
「お侍様が直々に見回っているほどだ……下手したら、見つかった瞬間切り捨てされるやもしれん」
「……とにかく、少しでも食い物を探そう」
「しかし、もう何度も山に入って探しているのだぞ」
「先日、滝蔵のやつがクマに襲われ……人の味を覚えられてしまった」
「それでも、山に入るしかないのだ」
「もはや、そこにしか食い物はない……」
「やはり、身売りさせるしか……」
「
「そうだ、そのまえにおらたち飢えて死ぬ」
「枯れた枝のように細い手足だ、そもそも売れぬ」
「……この世は地獄だ」
……。
……。
……。
「集まってもらったのは他でもない、末吉の家のことだ」
「……全員、凍え死んでしもうたな」
「先日から続いていた嵐で、屋根が崩れたようだ」
「可哀想に、ちょうど押し潰される形になってしもうた」
「まともに飯を食えておらんかったからな……」
「濡れて凍えた身体では、押し上げることもできなかったのだろう」
「無理もない、いくら今年の冬が温かいとはいえ、濡れた身体では……」
「女房は先日死に、残された父子も……か」
「………………」
「おい、どうした? 先ほどから黙って」
「埋めるにしても、大変だろう、その事を悩んでおるのだな?」
「いや、違う」
「では、なんと?」
「……末吉が死んだのは、昨夜だな?」
「うむ? そうだな、昨日の昼は元気だったからな」
「それが、どうしたのだ?」
「…………」
「……っ!? ま、まさか……止めろ! 踏み越えてはならん!」
「まさか、食うつもりか!?」
「血迷ったか!? 畜生外道に堕ちるつもりか!?」
「……では、どうするんだ?」
「なに?」
「分かっておるだろう、おらたち、もう後が無いんだ」
「それは……」
「嵐は関係ない、嵐なんぞ無くとも、末吉たちは冬を超えられなんだ」
「…………」
「今年は山も不作のようだ、熊がわんさか歩いていて、とてもではないが去年のようにはいかぬ」
「……だからといって、外道に堕ちるのは」
「では、このまま飢えて死ぬか?」
「――っ!」
「おらは、嫌だ。畜生外道に堕ちようとも、生きていてえ」
「神仏の裁きが下るぞ」
「なら、今が神仏の裁きだ」
「毎年、飢えて死ぬ。女子売って、それでも死ぬ。山に入れば熊に食われ、川を下れば同じ人に切り殺される」
「誰も死なせぬよう田畑を耕しても、お天道様は何もしちゃくれねえ」
「おらたちが飢えて死んでも、女子売っても、切り殺されても、食われても、何もしちゃくれねえ」
「何もしてねえおらたち切り殺されても、切り殺したお侍様にはなんの神罰も落としちゃくれねえ」
「死んで極楽? 何もしちゃくれねえ仏様が、本当に極楽に連れてってくれるんか?」
「そんなの、おらは信用しねえ」
「仏様が何もしちゃくれねえなら、おらはいくらでも畜生外道に堕ちる」
「それに、おらは夢で会ったんじゃ」
「白くお日様のように輝くナニカが、そうせねば生きられぬぞ、と」
「それで?」
「おまえらは、どうすんだ?」
「…………」
……。
……。
……。
「おい、モモのところを取り過ぎだぞ」
「すまねえ、生まれた子のために、女房に食わせてやりてえんだ」
「んだんだ、我慢せい」
「食わせるんなら、内蔵の方がええんでねえか?」
「内臓は臭みがなあ……よく血抜きせんと、不味いぞ」
「ちょうど塩を切らしちまっとるからな……」
「ワシは頭がほしい、とろっとしとるのが好きじゃ」
「爺さん、いつもそこじゃのう、そのうち病になるぞ」
「わははは、この年まで生きたんじゃ、いまさら病になっても惜しくはない」
「しかし、お侍さんの肉は美味いのう」
「ふ~、しかし、その分だけ切り分けるのが大変だ」
「腕も足も太いからなあ、食べごたえがある」
「今年も不作だというのに、やっぱりお侍様は飢えることなく良い物を食っとるわけか……」
「そのかわり、そのお侍様をおらたちが食っとる」
「なるほど、おらたちがお侍様を美味い肉にしたというわけか」
「わっはっはっは!」
「それにしても、こうまで食っていては、そのうちお侍様が攻めてくるんでねえか?」
「その時は、その時じゃ、どうせワシらは長くは生きられん」
「そうじゃ、そうじゃ」
「生きても地獄、死んでも地獄、ならば生きねば損というものじゃ」
「わはははは、違いない」
「わはは、わははは、わははははは」
「わははははは、わははははは」
……。
……。
……。
「最近、美味そうな肉がやってこんのう」
「お侍様も、他所との小競り合いで忙しいのか、しばらくとんと村の方にも顔を見せぬ」
「どういうわけか、年貢の取り立てが無いのは嬉しい……しかし、肉が食えぬのは……」
「米や野菜だけでは、力が出ぬ、やはり肉が欲しいのう」
「ふむ、どうしたものか……」
「お侍様の肉を食ったのは何時だったか?」
「お侍さまの肉なんぞ、前に食うたのは5年も前じゃぞ」
「幸い、今年は不作にならずに済みそうだな」
「しかし、肉が食いたいのう……」
「そう嘆いたところで肉は来ぬ、魚でも釣りに降りてみるか?」
「村の中ならともかく、外ではお侍様には勝てぬよ」
「旅人が来るのを待つか?」
「旅人なんぞ、ここは余所者なんぞ通らんよ」
「んだ、それこそ、なにか曰く付きのモノでもあればなあ……」
「そんなモノあったって、一目見たら帰ってしまうでねえか」
「んな、おめえ、女子どもにやらせたらいいだろ」
「あん? どうやんだよ」
「一晩床に付いてくれるって聞けば鼻の下を伸ばすだろ」
「それは良い考えだな、でも、やってくれるか?」
「一番美味いとこ持って行っていいぞって言ったらやるだろ」
「ああ、それはやるだな」
「よか、よか、それじゃあ、女子どもを呼ばねばな」
……。
……。
……。
「……というわけでな、ワシの子供の頃は、お侍さまの肉が一番の御馳走だったのだ」
「へ~、良いな~、私も食べたかったなあ……」
「とはいえ、けして良い暮らしではなかったぞ」
「そうそう、食えない日の方が多かったし、誰も彼もが痩せ細っておったからなぁ」
「食うに困った浪人どもが溢れていた頃が、一番良かったのう」
「そうそう、どいつもこいつも他人様に恨まれているから、居なくなっても誰も気にしない」
「刀を持っている者もいたけど、手入れもされていないしまともに飯を食っていない者ばかりだったから、容易かったしな」
「とはいえ、その分だけ骨と皮ばかりで、肝心の肉が少ないのがなぁ……」
「まあ、その時が一番食えた時期だな」
「んだんだ、今はめっきり食えんくなったなぁ……」
「今は、乗り物が出てきたからのう……」
「年寄りならいざ知らず、若者が行方不明になってしまうと、大騒ぎになるのがなあ」
「人通りが増えたのは良いが、その分だけやり難くてしょうがない」
「……潮時かもしれんのう」
「村長?」
「名残惜しいが、時代が許さぬようになったのかもしれぬ」
「村長、止めるのか? おらたち、コレが楽しみで生きているというのに……」
「いや、村長の言う通りだ」
「……そうだな」
「昔とは事情が変わった。ここがそういう村だと広まってしまえば、憲兵が押し寄せてくるやもしれん」
「……そうか、そうだな」
「うむ、名残惜しいが、仕方がない」
「そうだな、それじゃあ、今朝に〆たばかりのやつで終わりにしようや」
「うむ、最後に子供の肉とは、仏様も気を利かせてくれるものだ」
「わはははは、違いない!」
……。
……。
……。
「……皆の衆、集まってもらったのは他でもない」
「皆も知ってのとおり、我が村はかつてない危機にある」
「不作に不作が続き、そのうえ、お国からの支援もまだ先になるときた」
「役所勤めの者も給料が支払われず、支払いを踏み倒して夜逃げされた者もいる」
「物価が跳ね上がり、借金をしてでも満足には物が買えぬようになってしまった」
「こうなれば、吉原に女子を身売りさせねば……そう思ったが、どうやら吉原もこれ以上は引き取れぬときた」
「なんでも、ここだけではない。多くの村が似たような状況にあるらしく、その中でも器量が良い者しか取らぬようだ」
「残念ながら、こればかりはワシらではどうにもならぬ」
「既に、村でも子供が2人痩せ細って餓死し、大人も3人が病死した。今後、もっと増えるだろう」
「もはや、一刻の猶予もない」
「そのため、我が家に……代々村長を務めさせてもらっている、我が家に伝わる呪法を試そうと思う」
「まあ、待て、待て、待て」
「皆の衆の疑問はもっともだ。だが、少し待って、ワシの話を聞いてくれ」
「いつの頃に、その呪法が生まれたのかはワシも知らぬ」
「ただ、古い文献だけがある。もしも、再び誰も彼もが飢え死にするような事態になったとき、この本を開け、と」
「中には、こう記されている」
「『ある時、村の者の夢見に御仏現れり』」
「『御仏、飢えに苦しむあまり畜生外道に堕ようとする村の者を憐れみ、法師の姿を借りて、呪法を授けたり』」
「『我ら、儀式を用いて御仏の加護あり。時代の流れゆえ、一度は封印した』」
「『しかし、再び必要となった時、それをけして外に漏らしてはならず。これは呪法であり邪法、かならず代価を求められるなり』」
「……皆の衆の動揺は、もっともだ」
「この本には、儀式の内容が書かれている。そして、その内容は……はっきり言えば、邪法だろう」
「ワシも、これが成功するとは思わぬ」
「だが、こんな馬鹿馬鹿しいことでも、縋ってみたいと思うのだ」
「だから、頼む。どうか、試すだけ、試させてほしい」
……。
……。
……。
「……どうする?」
「どうするったって、おまえ……」
「儀式を始めてから、15年。村もそうだが、おらたちやる事なす事、全部良い方に転んどる」
「…………」
「畑もそうだが、村さ出て行った者も次々大成して、家を建てたやつもいる。おらたちだって、ほとんど世話をしなくとも、立派なやつさできて、全部高値で売れとる、種すら植えとらんのに」
「…………でもよ」
「近々、他所の村と合併するだろ? 今じゃあ、ここは村じゃねえ、町だ。こっちは豊作続き、とてもではないからやっていけぬと……もしかしたら、このまま行けばここが市になるかもしれん」
「…………良い事じゃねえか」
「そうだ、その代わり、儀式での捧げ物がちょっとずつ増えとる。今はまだ、おらたちでなんとかなっているが……そのうち、おらたちだけじゃ駄目になる」
「そ、そうだ、そうだよ……」
「そのうえ、最近になって……変な者を見たと訴える者が増えてきとる。1人や2人じゃない、男も女も関係なく、な」
「…………」
「なんでも、変な者が近寄ってきたという話もある……村長は、二言目には『心配ない』としか言わないが……なあ、おまえは、知っとるか?」
「な、何をだ?」
「おらの子供の時始めたこの儀式……止める時は、どうやって止めたらいいんだ?」
「そ、それは……」
「あんなに大量の生贄を出して、その代わりにおらたちはこんなに裕福になった。それなのに、もう必要ないからと勝手に止めたら……どうなるんだ?」
「そ、そんなの、俺が知るわけないだろ」
「それも、そうだ。けどよ、おらは時々、とても恐ろしく思う時があるんだ」
「……何がだ?」
「村長が昔話した、文献に登場する法師様ってのは……本当に、法師様だったのかって」
「え?」
「もしかしたら、後ろ暗い事を隠すために法師様ってことにしているだけで、実際は……もっと、もっとおぞましいナニカだったんじゃないかって」
「……こ、怖い事を言うなよ」
「だってよ、変じゃねえか……あの時は、おらたちみんな飢えきっていて、何も考えられなかったけどよ……」
「…………」
「仏様が、本当にこんな邪法を授けるのかって……」
……。
……。
……。
「なあ、今年の儀式はどうする?」
「どうするったって、しなきゃ駄目だろ」
「え~、またアレをやるの? ネズミだって、探すの本当に大変なんだよ」
「仕方ねえべ、ずっとやってきた事なんだから」
「いや、でも、おかしいって、何百匹も殺して埋めなきゃならんの? アレのおかげで、噂が立っているのに……」
「そうだよ、絶対に変だって」
「私、子供の頃は畑とか荒らす害獣だからって、特になんともお思わなかったけど、大人になると……正直、そこまでするかって……」
「そうそう、別に殺すのは良いんだよ。俺らだって百姓の子だし、作物とか食い荒らすネズミだからってのはあるけど」
「わざわざ、あんなに大量に罠を設置してまでやる必要ある? 数が足りないと、わざわざ買付までして……正直、ちょっと怖いよ……」
「でもよ、やらないと爺さん婆さんが滅茶苦茶うるさいぞ」
「そうは言っても、今年は山も豊富なのか、ネズミが全然見つからないんだよなあ」
「爺さん婆さん連中は、何事も信心深いからなあ……」
「不作の時に助かったのは儀式のおかげで、この儀式を止めてしまうと大変なことになるかも……ってやつでしょ? もう聞き飽きたよ、その話」
「そりゃあ、冷静に考えたら何百匹もネズミを殺して一か所に集めるんだぞ。そんな儀式を止めるって言われたら、大丈夫なのって俺でも心配になるよ」
「じゃあ、続けるの? わざわざ、東京に行った人たちまでも呼び集めてまでさ」
「伝統というか歴史もあるから毎年帰っては来ているけど……正直、移動費も馬鹿にならないんだよなあ……」
「そういえば、去年は何人か戻らなかったっけ?」
「あ~、たしか小野田のとこだな」
……。
……。
……。
「……あんたら、いったい何をやったんだ? これは、5年10年の話じゃないよ」
「先生、なんとかなりませんか!?」
「残念だけど……私の手におえる事じゃないよ。交通費は良いよ、とにかく神仏に祈りなさい」
「もう、今年だけで20人は死んでいるんです! それも、普通の死に方じゃなかった!」
「……数珠は渡したでしょう? とにかく、神仏に祈りなさい。それで、向こうが諦めてくれるまでは……」
「先生! お金なら払います! どうか、どうか!!」
「去年子供が生まれたばかりなんです! 」
「先生! もう先生しかいないんです! みんな、ここを訪れた途端、断られまして……」
「それは、そうだよ」
「これはね、もう1人の力でどうにかできるものじゃない」
「おそらく、この呪法とやらを教えた法師は、人間じゃないね。悪霊とか妖怪とかでもない、もっと恐ろしいナニカだ」
「とてもではないが、人が太刀打ちできる相手じゃない」
「でもね、これは貴方たちの祖先にも責任はある」
「だって、貰うモノは貰っていたのでしょう? 家を建て、大成して、役職に就いて、捧げた分以上のモノはもう得ている」
「それを、人が死んだからと一方的にナニカとの約束を破棄するのはまずい、下手したら、もっと酷い事になりかねない」
「先生! 先生! 先生……でも、子供たちには関係ないじゃないですか。子供たちは、何も知らないんですよ……俺たちだって……」
「知らなくとも、貴方たちは既に対価を受け取っている。これまで不運に見舞われることなく、穏やかで幸せな毎日を送ってこられたのでしょう?」
「それは……そんなの、当たり前じゃないですか!」
「当たり前じゃないのです、それは。それを有って当たり前だと心底思えている時点で、貴方たちは既に対価を得ている。なので、一方的に破棄してしまえば、これまで起こるはずだった不幸がまとめて一気に襲って来るやも……」
「先生……先生、それはあまりに……」
「……対策が、対抗手段が無いわけではありません」
「先生……!」
「ですが、それを行うためにはまず、貴方たちの祖先が犯した罪を知り、その果てを受け入れなければなりません」
「それは、いったい……」
「私には、過去を読み取る力、残されている思いを読み取る力があります。それで、私が分かっている事だけを伝えましょう」
「そして、その後に……その後が肝心なのです」
「段階を踏んで、呪法を反転させるのです」
「貴方たちは、そうですね、これから30年ほど先までは、これまでどおりに儀式を行いなさい。その際、貴方たちだけで全てを行うのです」
「他の者を利用するのは構いませんが、絶対に気付かせてはいけません。特に、儀式に利用するためだと悟らせてはいけません」
「……そうですね、出来るならば、儀式が行われていた場所を、子供がより集まる場所に変えなさい」
「『子供は七つまでは神のうち』という言葉がありますでしょう? まあ、7つまでと限定する必要はありません」
「逆に、いたずらに『神』を刺激させてしまいますし……そうですね、せめて12歳以上でしょうか」
「それならば神に連れて行かれる心配もなく、この呪法にて姿を見せるナニカ共は、『神』を嫌う。ならば、神に近しい存在である子供は、そこに居るだけで良い」
「どうやって集めるかは、貴方たちが考えなさい」
「そして、貴方たちより下の世代には、これまで執り行っていた儀式を『絶対にしてはいけない儀式』として教えなさい。そして、それを絶対に口外させないよう厳命しなさい」
「いいですね、絶対に下の世代には儀式をさせてはいけません。万が一、冗談のつもりでも、一部だけでも、決まりを破った者が居たならば、絶縁しなさい」
「完全に関係しない者として、一切の繋がりを断ちなさい。絶対に、我が子だからと連絡を取る事すら絶対におやめなさい」
「そうすれば、無関係な誰かになりますから。いいですね、絶対に守りなさい、それが我が子を守ることにもつながりますから」
「そして、孫より下の世代には、儀式の存在すら教えてはいけません。影響はおそらくかなり少なくはなりますが、念には念を入れて、存在しないモノにしなさい」
「……時の流れは、時に決心を鈍らせるかもしれません」
「心に秘密を秘めたまま、何も知らせないまま終わらせることに、しこりのようなモノが生まれるやもしれません」
「それでも、儀式を執り行っていた場所だけは教えてはいけません。場所を教えるということは、ナニカにその者の位置を教えるも同じなのです」
「いいですね?」
「それでは、私が知る事ができた部分を全て教えましょう」
「いいですね?」
「それが、どれだけ辛い事でも……逃げ出す事は許しません」
「いいですね?」
「いいですね?」
「本当に、いいんですね?」
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