夜の森

その日の夜、ブラウンは同じ学園の教師であるフィデア・ストークと共にバーに居た。


「ふーむ、これはまだよくわからないな。そもそも両方魔法を使っていない」


「仕方ないだろ、一応全員に参加させとかなきゃ不自然に思われる」


「使い魔の方はみたか?」


「ああ、火の鳥と氷の魚」


「まあ妥当なところか」


「そっちはどうだ?」


「別に変わらないな」


「じゃあ少しの間は訓練か」


「あまり無茶はさせるなよ」


「分かってるさ」


 ブラウンはグラスの酒を飲む。


 ブラウンと別れた後フィデアは森の中を歩いていた。

少ししてフィデアの首元に剣先のない直角定規のような剣を向ける緑の鎧の者がいた。


「珍しいなエギラダは寝ているのか?」


「いや、精神統一を」


「侵入者が?」


「どうもそのようだ」


「だとしても奴が精神統一とは…少し過剰じゃないのか?」


「相手は国軍だ、まあその必要はないと思うが」


「相手がかわいそうに思えてくるな」


「おや、噂をすれば」


 森の中をいくつかの影が動く、そして出てきたのは5人の兵士、


「国の兵士がこの森に何の用だ?」


「な、君前達のような一般人こそ何をしている?先日この町から少し離れた村が何モノかに襲撃されて滅びた。情報をたどるとこの森に魔物が逃げたというので調査をしにきた」


「なるほど」


「分かったなら早くこの森から出てくれ」


「何故だ?魔物がこの森に逃げたというのは嘘かもしれないだろ」


「何を言っているんだ!魔物がいない保証なんて誰にもできない、早くこの森から出て行ってくれ」


「それは出来ないな、この森には人を入れてはいけない決まりでな」


 緑の鎧の者が剣で兵士の一人を斬った。


「ぐはぁっ!!」

「な、何をする!?」


「愚問、たとえ国の軍であってもこの森に入ることは許されない」


 緑の鎧の者はまた一人斬る。


「く、退却だ!」


 さすがに二人負傷した状態は部が悪いと判断した隊長が後の二人に声をかける。


フィデアと緑の鎧の者は退却するのを眺めるだけで追わなかった。


「少しの間は動かない方が良さそうだな」


 すると木陰から上半身が牛のミノタウロスが現れる。


「こっちは終わった」


「殺したのか?」


「まさか、国の軍っていうんだからもう少し骨があるかと思ったらがっかりだ」


「じゃあ、拠点に行くか」


 フィデアの後に鎧の者達がついていく。

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