2つの問題

 この学園は今2つの問題を抱えている。

 しかも一つは早急に解決しなければならない。


 ブラウンが職員室に戻ると数名の教師が何やら慌てた様子でいる。


「あ、ブラウン先生!教頭はなんと?」


「式を始めると。今日のところはなんとかごまかすしかないな」


「そうですか、分かりました」


「ん、それにしてもまさかがこんな時にあらわれるなんてね」


 ブラウンはぼやく。

 この学園の問題の1つ、それはこの学園の長であるマーティ・カラカスが行方不明なのである。


 マーティには時々どこかを放浪する癖があった。

 期間は1日の時もあれば1週間いないなんてこともあった。

 そしてマーティは入学式の3日前にいなくなったきり帰ってこない。


「学園長の祝辞はどうするんでしょうか?」


「台本作ってるからそれで、後は……」


「その台本を使う必要はありませんよ、ブラウン先生」


 職員室の入り口にいつの間にか立っていた男が喋る。


「が、学園長!!」


 入り口に立っていたスーツ姿の男はマーティであった。


「ふむ、間に合ったようですね。いやすまない、思いの外道が混んでてね」


「全くですよ、とにかく急いで体育館の方へ」


 ふと、ブラウンはマーティから言い知れぬ匂いがしたように思えた。


「学園長、つかぬことを聞きますが今度はどちらに?」


「ん、気になりますか?別に大した所に行ってませんが」


 マーティから感じる威圧感にブラウンは少し驚く。


「まあ少し、入学式の前に居なくなられたものなので」


 そうこうしていると二人は体育館に着く。


「さて、何を話そうかな……」


 そんなマーティの呟きにブラウンは思わずため息をつきそうになった。

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