第4話 冗談
皆さん、中国語で冗談を言えたら楽しいですよね。特に外国人が流暢な中国語で気の利いた冗談を言ったらおおいにウケること間違いなしです。例えば久しぶりに友人に会った際に「先死你了」とひとこと言うだけでも一目置かれることは間違いありません。
私が留学したての頃かな、カナダ出身の大山(Dashan、本名知らん)が見事な中国語で相声(Xiangsheng、2人でする掛け合い漫才みたいなもの)をしているのをテレビで見て、羨ましいと思ったことがとても懐かしい。
一時期は日本の漫才が「漫才(Mancai)」として中国に輸入されようとしたが、その時に初めて漫才って「どつき」というスキンシップが重要な記号として使われていることに気付きました。相声ではそれをリズムの出る快板(Kuaiban)とかで補っているんですね。でっかい扇子を持っていながら、ツッコミの際でも相方の肩すら叩きません。貴族の漫才ですな。
さて、私が上海の徐家匯のとある大学に行った時、そこで働くドイツ出身の女性研究者の講演を聴講する機会を得ました。彼女は流暢な中国語を操ってドイツから中国に来た当時の思い出を話し始めました。「こんなに広い国をどのように理解すればいいのか途方に暮れていた時、私の同僚がそんなの簡単だよ、こう考えればいいと、こんな俚諺を教えてくれたのです。“中国人は大きく三種類に分かれる。北京は愛国、上海は出国、そして広東は売国だ”と」。おいおい、これは何かの冗談か。
冗談ってのは時と場合と分際をわきまえないといけないんだと、つくづく思った次第。彼女の同僚も、彼女が笑い話としてそれを皆の前で発表するとは思っていなかっただろうし、中国人も外国人の口から笑い話としてこの話を聞くとは思っていなかったに違いない。彼女一人だけが、これを笑い話として無邪気に皆の前で開陳している。かなりシュールな光景でした。
でも時々シュールな冗談を言いたくなるのよ。私は「鬼子」です、とか。ちなみに「花子」は乞食のことらしいです。そんなことも自由に言いにくくなった21世紀も四半世紀に差し掛かった今日この頃、ご機嫌如何。
此致,敬礼,再会。
楽中日記 天柱樹 @Dasong
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