淡い夏の最高の1日
東井タカヒロ
夏の香り
灼熱の陽光がアスファルトから反射される。
「なんで夏はこんな暑いんだ」
「仕方ないだろ。それが夏いうものだ。」
俺は夏休みを返上して、補習を受けた帰りで死にそうだ。
水、いや、飲み物なら何でもいいから欲しい。
あぁ、家に帰って、冷房の効いた部屋でゴロゴロ過ごしたい。
「隼人……僕はここまでのようだ……」
「おい!竹田!お前メガネが本体だろ!さっさと動けよ」
「ふ……ざけるな、脳筋が。だから補習になるんだぞ」
「はっ、竹田だって学校来てるじゃねぇか」
「お前は、自習という言葉を知らないのか……」
「んな、ことより、あそこの自販機でジュース買わね?」
「賛成だ」
まるでセーブポイントかのように、立ち止まり、小銭を入れる。
「……非常事態だ。隼人、金貸してくれ」
「ざけんな、てめぇ!何度目だよ……ほら、貸すよ」
「ふっ、作戦通り」
「てめぇ、今から自販機にしたろうか?」
「なんだよ、その脅し方」
ペットボトルを開け、喉に向かって飲む。
カラカラで乾ききった口の中に冷やされた極上のジュースが流れ込んでくる。
段々と潤い、生を実感する。
「プふぁあああ!」
「夏はこうでなくちゃ」
竹田も続いて生き返るように飲みこむ。
「はぁ、生き返る」
さぁて、生き返ったことだし、帰るか。
「竹田、帰るぞ」
「あぁ、僕らの家に戻ろうか」
しばらく歩き、駅に着く。
「じゃ、僕はあっちだから、ここでお別れだ」
「また明日なー」
「明日も補習がるのか。呆れるよ」
「うっせ」
あぁ、最高だぜ。
色んなことがある、苦労、努力、楽しいことや、悲しいこと。
でも、その全てが青春という前では全てがどうにも言い表せないほど、楽になる。
こんな毎日が続くなんて、僕らは実に愉快だ。
「あ――切符買う金ねぇわ」
へっ……これもまた、青春だな。
たまには歩いて帰るか。
苦労も青春のうちってな。
淡い夏の最高の1日 東井タカヒロ @touitakahiro
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