Singing Hero

くらん

⎯⎯プロローグ⎯⎯

Singing Hero



死にたくない。

死にたくない。


誰か、助けて────。



「大丈夫。今、助けるから」








月明かりに照らされて、銀色の髪がキラキラと輝いていた。

大人っぽくて、どこか神秘的なその姿に、思わず息をのむ。

月明かりに照らされた彼女は、まさに女神だった──第一印象は、そうだった。


そんなあの方に救われた私は、今日から、新人の魔法少女として戦う。




「魔法少女」と聞いて、あなたはどんな姿を思い浮かべるだろう?

魔法で怪人を倒す、みんなのヒーロー?

誰にでも優しくて、みんなに愛される存在?


──でも、これはそんな夢みたいな話じゃない。


魔法なんて存在しない。

魔法少女は戦うのが当たり前。

感謝されることも、もうほとんどない。


その過酷さから、今や魔法少女を辞める人は、なんと80%にも上るという。


それでも、なぜ私はこの職業を選んだのかって?


それは、私も─────

みんなが憧れるように、

魔法少女に憧れたひとりだったから。


憧れだけじゃうまくいかないことくらい、分かってる。

努力がすべて報われるわけじゃないことも、ちゃんと知ってる。







それでも、私はなりたかったんだ。


魔法少女に─────。









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Singing Hero くらん @Pandakopanda39

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