MMO最強コミュ障男、異世界転生したら強すぎて国を支配しました

AKISIRO

第1話 MMO最強プレイヤーはコミュ障

 空想堕 剣心(くうそうだ けんしん)はぼんやりとpcモニターを見ていた。

 こじんまりとしたアパートの部屋。

 本が本棚に詰め込まれており、物があまりない。

 pcが3台設置されており、1台につき2モニターを設置している。

 合計で6モニターに囲まれているケンシンはSRRMMO(ソードライトロードオンライン)をプレイしていた。

 

【や、やべえええええええ、道化の戦闘狂が来たぞおおお】

 

 pcモニター上にそのチャットログが流れた。

 それだけで、ケンシンが不敵に笑う。彼は今無精ひげを生やして、3日間も何も食べていない。

 コミュ障、それが彼の悩みだ。

 人の気持ちを理解する事が難しい、いつも他プレイヤーと喧嘩をしてしまい、最終的にはpkしてぶちのめす作業に入る。


【ぎゃあああああ】

【こ、こっちくるなああ、ここで死んだら経験値がかなり減るんだああああ】


 プレイヤーの悲鳴など無視して、ロングソードと革の盾だけ、圧倒的操作技術を駆使しながらMMOとは思えない動きをしながら相手をpk(プレイヤーキル)する。


「ふぅ、すっきりした」


 今回はレイドボスについての争いだった。

 ケンシンがレイドボスを簡単に倒してしまい、ちょうどレイドボスを倒す祭り計画を台無しにしてしまった。いちゃもんをつけられたケンシンは、別にそういう決まりがある訳じゃないじゃんと言ってしまい大手ギルドに睨まれた。

 相手のは100人を超える大手だし、レベルも相手の方が上だ。

 だが、ケンシンは1人で全てのプレイヤーを倒しては倒しては倒しつくした。

 相手が狩りに出れば、暗がりの中から現れて道化の仮面で笑いながらpkしまくる。

 

「すまない、こっちが悪かった」


 ギルドマスターがそのように謝罪しても、ケンシンの心は収まらない。

 相手のレベルが1にまで下がり続けるデスペナルティーを与え続けたわけだ。

 その結果。


「引退します」


 という事になり、そのギルドメンバー全員が引退した。

 それでもすっきりしないケンシンはその同盟のギルドも壊滅させた。


「ふぅー」


 ケンシンは何もかもすっきりしたので、3Dモデリングの仕事に取り掛かった。

 美少女とかのキャラクターモデリングをしたりする。

 そういったキャラクターは色々な用途で使用される。

 ゲームの素材となるモデリングもしたり、世界そのものをモデリングする事だってある。


「ふぅー」


 あっという間に太陽が昇ってくる。

 窓から差し込む太陽を感じながら、ケンシンはコンビニに行こうとするも、物凄く体が重たい。

 眩暈がして、ベッドに倒れ込んだ。

 それがこの現実世界からケンシンが消えた瞬間だった。


★ 死神

「やぁ、クウソウダケンシン君」

「頭がいてーな、ここは?」


「今君が見ている光景は本物だよ?」


 どこかの崖の上だった。

 崖の下には骸骨が無数に転がっている。

 地平線の向こうには闇色のお月様が昇っていた。

 闇色のお月様から光が差し込み、ぼんやりと眼の前の男を照らし出す。


 骸骨だった。

 黒いフードを被って、腰にはロングソードと革の盾を装備している。

 それはケンシンがよくMMOで装備している装備によく似ていた。


「俺は死神だ。キミは死んだよ?」


「へ、へぇ、なぜ神様じゃないんだ?」


「この世界はね、君が今後創り出すような世界さ」


「俺が骸骨だらけの世界を作り出す?」


「そうならないように願っているよ、さてと、キミにジョブとスキルを与えよう」


「俺は死んだんだろ?」


「剣と魔法とSFな異世界【エルガラード】君はそこで同じ肉体で転生するよ」


「25歳のままって事か」


「そうだね、装備はこのロングソードと革の盾で十分だろう」


「くれるのか?」


「もちろんだ。元々君の物だよ」


「?」


「さて、ジョブとスキルを返そう」


「くれるのではなく、返すのか?」


「気にするな」


「ジョブ:空想剣士、スキル:空想の創造、使い方は自分なりに見つけてくれたまえ」


「ああ、そうするよ」


「じゃあ、2度目の人生を謳歌してくれたまえ」


 死神は大きな鎌を取り出すと。

 思いっ切りケンシンの首を両断した。

 意味が分からず、首と胴体が真っ二つになったケンシンは骸骨がいる奈落の底へと落下していった。


 眼が覚めた時。

 そこがエルガラードという異世界である事を知った。

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