第10話 装備の王の日常
「よぉ、ガナージ、カリナを連れてきたぜ」
子憎たらしい表情を浮かべながらジャナグがカリナを連れてくると、ガナージは会議室の椅子に座った状態で顔をそちらに向けた。
「お久しぶりです。ついついガナージさんのベッドの下で眠ってしまいましたが」
「まぁ、気にしてないよ、話があるんだろう?」
「はい、ガナージさんとんでもない強さになりましたね」
「あの謎のダンジョンで遥か昔に忘れてきた何かを俺は見つけてしまったみたいだ」
「それが前世という奴なのでしょうか?」
「そうらしいけどね、そこで立ちながら眠ってるグリシュナが何もかも知ってるらしいんだけどね」
「この銀髪娘ですか」
「そう睨むなよ、こいつはこいつで結構がんばってるんだよ」
「はは、そうですね、立ちながら寝るなんてすごい事だと思います」
ガナージが苦笑をもらしていると。
「そうだ。ヴィンドセルム王国、また攻めてくるでしょうか?」
「たぶん、また攻めてくるだろうね」
「黒竜騎士団が全滅したという事は、次は大将軍クラスが来ると考えてます?」
「元大将軍のマーカスなら倒せそうだったけど」
「いえ、ドラゴンスレイヤーのダーカーザックです」
「ソレハソレハトテモキョウミブカイデスナァ」
その声にカリナはぎょっと窓に置いてある大剣を見ていた。
その大剣は禍々しく光り輝いていた。
「コレハコレハシツレイシマシタオジョウサマヲオドロカセルツモリナドゴザイマセンデシタ」
「大剣が喋ってる。た、たしか」
「ドラゴンアッシャー」
ガナージがぽつりと呟く。
「カリナ話を続けてくれ、我が同胞はダーカーザックに興味がおわりのようだ」
「は、はい、ダーカーザックは炎龍ヴィルグラムと氷龍ガルフラードを殺してドラゴンスレイヤーの力を獲得しました。という逸話が残っています。現大将軍の1人です」
「ホホウアイツラコロサレタノカ」
「炎龍ヴィルグラムは死の火山の竜王として君臨していたのです、氷龍ガルフラードは氷のダンジョンのワールドダンジョンボスでした」
「その2体がダーカーザックに殺されて力を奪われたと?」
「はい」
「その逸話は聞いたことがあるけど、そんな化物がヴィンドセルム王国にいるとしたら、少しまずいかもしれないな」
「それ以外にも問題があるそうです。3人の伝説がいるそうで、異世界人だそうです」
「それは聞いたことがあるよ、彼等はスキルではなくて超能力と言う力を使うそうだよね」
「はい、スキルでは説明のつかない規格外の物らしいです」
その時だった。ばたりと会議室のドアが開かれた。
そこに立っていたのは、装備の革鎧の姿をしている身軽そうな同胞だった。
彼女の名前はモンスター使いのバロアット。
モンスターを食らう事と従える事の出来るスキル持ちだ。
「はっはっは、今日もいい天気だなーお、カリナじゃないか、そんなしかめっ面をしてどうしたんだい?」
「バロアットさん、今とても真剣な話をしているんですよ」
「そりゃー失礼、愛の告白だとは知らなかったものでね、おねぇさんはここから立ち去るとしようか」
「そういう訳ではありません! 今伝説の3人の話をしていた所です」
「ははぁーあいつらかーおねぇさんてきにあの3人は好きじゃないねー好き放題村とか街とかを壊滅させてるそうじゃないかー」
「そりゃ最悪だな」
「そいや、堅物グレンジャーはどこいったんだい?」
「あいつなら、少し散歩してくるだそうだ」
「あ!」
その時、カリナが大きな口を開けて叫んだ。
「堅物グレンジャーの逸話に放浪癖があると情報があった気がします。ぶらりと隣の国に行ってぶらりと滅ぼしてくる、それが魔物の力だそうです」
「あーでもだいじぶじゃない?」
バロアットがそんな事を呟いていると。
「まぁ、ニチホン街以外は滅ぼさないだろう」
「そこじゃなーい」
カリナが思わず突っ込んできたが、ガナージは顎に手をのせて考えて。
「じゃあ、俺も動くとするか」
「何をするんですか?」
「軍勢を増やすだけさ」
「それなら漆黒龍の墓場に行きませんか? あそこに漆黒龍の遺骸が埋葬されてるの知ってます? 一応ダンジョンの最下層なんですけど、いけますよね」
「お、漆黒龍なんて配下に出来たら最高だねーあーでも、これからモンスター料理を開発するからいけないなー」
「それなら、あ、私も興味あります」
その時、1人の女性があけ放たれているドアを覗いていた。
「あのー魔法使いで良いなら行きますけど」
それは新しく配下になった名も無き魔法使いマシャールであった。
彼女は青い髪の毛をさらりと揺らした。
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