家の庭にミニミニダンジョンが出来た
菜月 夕
第1話
序
ブラック企業に嫌気がさしてた頃ジャンボ宝くじが当たり、それをどこから聞きつけたのか周りに金を要求され続けると言う理不尽まで起きたので、いよいよ会社も辞めて逃げ出すようにこの田舎に来た。
日々のんびりと家についていた小さな畑で幾つかの野菜を作ったり、周りの農家のお手伝いをしたり豊かに暮らしている。
ここを購入したり引っ越しに少し資金は使ったがまだまだ残っている。自分の暮らしは自家菜園と周りへの手伝いでほぼ自給自足できるので今までとは比べもにならないくらいにゆったり生活出来ている。
少し伸び始めた雑草を抜きながら空を見上げる。ああ、今日も良い日だ。
まったりとしていると家の庭の奥で黒猫のナオが「ぅなぁー~お~」と啼いた。
あいつは半分野良猫で私がここに来た頃、ここを寝ぐらにしていたらしく一緒に暮らすようになった猫だ。
ナオがああ言う啼きかたをする時は獲物を捕まえた時だ。
獲物を捕まえると、喜ばれて高いカリカリをあげたりしていたから獲物を捕まえると私に見せに来るんだ。
そして私はナオが捕まえたソレを見て眼を丸くした。
それはどうみてもゴブリンだった。但しナオが捕まえて来たのも判るとおり、そいつは大きさ30センチにも満たないミニミニゴブリンだった。
そしてナオはソレを見せた後に誇らしげに庭の隅に向かっていった。
そこには今まで気付かなかったが庭に小山が出来ていて横も縦も40センチ程の門が開いていて薄暗い穴と地下に向かう小さな階段が地下に続いているのが見えた。まさに最近よく聞くダンジョンが家の庭に出来ていたらしい。
人も入れそうもないミニミニダンジョンが。
20**年。世界各地にダンジョンと呼ばれる異界への門が出現するようになった。
その中にはモンスターが徘徊し、宝箱が見つかって大きな富をもたらすこともあった。
モンスター素材、ダンジョンで採れる不思議素材。それらを求めて人々がダンジョンを目指すのは当然の成り行きだった。
ダンジョンの中では人々も魔法が使えるようになったり、身体能力が驚異的に上がるなどまさに物語のようなそこにはあった。それもまた人々をひきつけた。
モンスターの脅威にダンジョン封鎖などの声も出たが、ダンジョン内での探索者の特殊能力もモンスターもダンジョン内とそこからせいぜい10メートルほどでしか発生出来なかったことともあいまって、やがてはダンジョンに訪れる探索者用の店ができ、それは場所によってはダンジョンビジネスが盛況になり町が出来ることもあるほどだった。
しかしなぁ、このゲートじゃ人は入れないよなぁ。いちおう町の生活安全課に届けるか。
それにさっきのミニミニゴブリンも処理しなきゃ。
モンスターはダンジョンそばからは出ないとは言え、魔石をつけたままだとゾンビ化して家や家庭菜園はこのゲート10メートル以内だから荒らされかねない。そこらはダンジョンが発生しだして以来、民間にも公表され私も聞き知っていた。このミニゴブリンの魔石だとなんの役にも立ちそうも無いが、普通の魔石だと変わった宝石やパワーストーンとして等級毎に値段が付くらしい。
さっきのところへ戻ると、ゴブリンがぴくぴくしていた。
ナオのやつ、とどめをささなかったな。あいつは嫌いなものは食べないからなぁ。
まあ、ゴブリンは家畜用肉としても役に立たなかったというからまさにネコマタギに違いない。まあ、畑の肥料としては有効という話だから魔石をとって野菜畑に埋めてみるか。
さっそく、ゴブリンの首を落とす。農家の真似事をしてると、この手の事は平気だ。
するとピコンという音がして目の前に半透明のウインドウが出てきた。
まじかよ。これがダンジョン圏で見れるステータスウインドウか。
朝倉健吾 LV1 テイマー
テイム
テイミング
ナオ(黒猫) Lv3
夜眼 爪術
猫のナオがいつの間にか使い魔になってた。ナオの方がレベル高いじゃん。確かにナオが倒してきてるけど、いいのか?
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