Sight

@LoveWolf0826

第1話:Sight

スコープの標準には、大きなビルの屋上から景色を眺めている人物が収められていた。


?「ターゲット捕捉」


次の瞬間──ピュンッという音がしたと同時に、標準に収められていた人物が膝から崩れ落ちた。静かな屋上にパシャリと音を響かせ、倒れている姿を写真に収めた。


?「任務完了」


ジジッと無線の音がする。


無線の声「よくやった、シン」


シン「お安い御用です」


無線が切れた。


シン「新しいサイレンサー、全然音鳴らないな!良い買い物したぜ〜」


──彼は、殺し屋だった。




道路で手を挙げると、タクシーが停まった。


ドアがゆっくりと自動で開く。


運転手「おつかれ新人」


シン「お疲れ様です!黒澤さん!」


タクシーに乗り込んだ。


黒澤「任務どうだった?」


シン「問題無しです!」


黒澤「お前この業界に入って3ヶ月だよな、よくやるよ」


シン「ありがとうございます!まだまだ成長しますよ!」


黒澤「ははっ、張り切り過ぎんなよ」


シン「はい!」


和やかな会話に包まれたタクシーは、ネオンの光で照らされている都市に紛れ込んでいった。




タクシーが7階建てのビルの駐車場に停まった。


シン「黒澤さん、運転ありがとうございました!」


黒澤「いいってことよ。お前たち殺し課の送迎が俺の仕事だからな」


黒澤はまた車を走らせ、シンはビルへと入っていった。


『コンコンコン』、ノック音が響く。


?「入れ」


シン「失礼します」


中には煙草を咥え、整ったスーツを着ている人物が座っていた。


シン「任務遂行しました、課長」


そう言い、証拠写真を見せた。


課長「ご苦労。報酬金だ。」


封筒を受け取る。


シン(分厚いな…)


シン「ありがとうございます」


課長「どうだ、スナイパーは」


シン「最高です!新しくサイレンサーも買ったのですが、全く音が鳴らなくて!」


課長「…そのスナイパーは元から音鳴らないぞ」


シンは笑顔のまま固まった。


課長「その銃に装填されてるのは実弾ではなく神経毒の針だ。火薬で発砲するわけではないため元々音は小さい」


シン「…」課長「…」


課長「…サイレンサー、いくらだったんだ?」


シン「24万です」


課長「……」シン「……」


沈黙が流れた。


シン「失礼しました…」その場を後にする。


シンは両頬を自分の手で挟み叩いた。


シン(シャキッとしなきゃな!)


笑顔になった。


シン「…いや、24万は笑えねえ…」


真顔になった。


シンは自分のデスクに着く。


シン「お疲れ様です」


同僚たち「おつかれ」



報酬金を貰ったことを思い出し、封筒を覗く。するとシンは大きく目を見開き、震える指で数えだした。



渋沢栄一を10枚ずつ並べると、


シン「52万…」


シン「…課長ミスったのかな、1人殺しただけでこんなに…過去最高額だ」


シンは封筒を抱え課長の元へ行った。


シン(わんちゃんホントに52万貰えるのかも…)

期待に胸を膨らませていた。




課長「…あぁ、入れすぎたな」


シン「…………」


課長「悪い、50万だ」


シン「……え?」


課長「どうした」


シン「二万円しか減らないんですか?」


課長「あぁ」


シン「…ホントにこれ俺1人がもらっていいんですか?」


課長「あぁ」


シン「……本当に本当に」


課長「しつこい、殺すぞ」


その場を後にした。


シン(上げて下げて上げられたな…でも50万!!!よっしゃ!!何に使おう?まず回らない寿司を…)


再度自分のデスクに戻ると、書類が置かれていた。


シン「あぁ、別任務か」


その書類にはターゲット三人と、


任務同伴者1人が記されていた。


シン「…ハッ!?」


シンの顔面は蒼白になった。


シン(この同伴者…)



読んでいただきありがとうございます、次から面白くなるのでどうかせめてマジで2話まで読んでいただきたいです。

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