47. お試しとフルコース


日課になっている俺たちとの魔法の練習の前、化粧を落として足の裏になったプリシラが改まって俺に言い出した。


「私にも、ハンナやアリスに掛けた魔法を掛けてください。」


「無理だ。」俺は即座に答える。


「どうしてでしょう。お礼なら侯爵家の財産から払います。私は跡取り娘ですから。」


不服そうなプリシラに、俺はきっぱり答える。

「だからだよ。あの魔法は、俺のクランに入る者ににだけ掛けるものだ。」


「でも、ケースによってはお金を取って掛けることもあるでしょう?」


俺はちょっと笑う。

「それはその通りだ。だが、お前は貴族の令嬢だ。これから社交界に出て、そして貴族社会の中で結婚してこの領地を治めることになる。


貴族の令嬢に、あの魔法を安易に掛けることはできない。 何より、侯爵様がお許しにならないだろうよ。さ、練習を始めよう。」


「そんなこと言わないで! ハンナ、アリス、あなたたちには私の気持ち、わかるよね!」


ハンナもアリスも黙っている。

まあ、それはそうだ。あの魔法は気持ちよく、効果も素晴らしいのだが、全裸で俺のマッサージを受けることになる。


たとえ最後の一線を越えないとしても、簡単に貴族の令嬢にやっていいものではない。

貴族社会で、男と接触したなっどと言う悪い噂を流されたら大変なことになるのだ。


俺の考えを二人ともわかっているのだ。わかっていないのは、何をするのか知らないプリシラだけということになる。


「侯爵様の了解を取れれば、適切な対価で施術してやらんこともない。」

プリシラの顔がほころんだ。


「わかりました。お母様の了解を取ります。」


「へ?侯爵夫人? 侯爵の了解を取って欲しいのだが。」


「大丈夫です。お母様の決めることを、お父様が覆すことはできません。」


やれやれ、かかあ天下なのか。まあ良い。どうせ夫人の了承なんか取れないだろうからな。


と言うわけで、その日も半裸でマナピンポンをした。平板な胸を見る度に、プリシラ、強く生きるんだ!と語り掛けたくなっていた。 だからプリシラがハンナやアリスのようになりたい、と思う気持ちはよくわかるんだ。 


だが断る。


俺だって命は惜しいからな。娘ラヴの侯爵が許すはずがない。


…と思っていた。

翌日、俺は侯爵夫人に呼び出された。


なぜに?俺はちょっと不思議だった。


夫人は、プリシラとアンと一緒に居た。

多分まだ30代後半くらいだろう。



ウェーブのかかった綺麗な金髪は胸のあたりまで伸びている。

顔は彫りが深く、鼻筋が通っている。そしてエメラルドグリーンの大きな目。

胸部装甲はとても大きい。まるでメロンが並ぶようだ。

濃いめの化粧がよく似合う。


細めにまっすぐ引かれた眉に、長いまつ毛。

少女漫画に出てきそう。


いわゆる「貴婦人」という感じだ。

もちろん、「貴腐人」なんかではない。


熟女の魅力に溢れている。これで子供が一人しかいないのは謎だ。


いずれにしても、プリシラとは偉い違いだ。親子とは思えないくらいだ。

まあ、きっと今は顔が足の裏でも、成長すればプリシラも美人になるのかもしれないし、胸も大きくなるかもしれない。希望的観測だが。


それはさておき。

侯爵夫人は聞いてきた。


「プリシラが、アレンに魔法を掛けてほしいのに、かけてくれない、ということを言ってきました。。その魔法をかければ、アリスのように突然、美しくなり、胸も大きくなるらしいではないですか。


対価は払いますから、プリシラにその魔法を掛けてやってもらえますか?」


優雅な熟女が、娘を思って言っている言葉だ。

ただ、アリスはその前から美人だったぞ。ハンナは幼かったが美少女の片鱗はあった。


それに、侯爵夫人は俺の究極魔法がどんなことをするのか、について前知識を持っていないことも確かだ。


ハンナやアリスから、プリシラは聞いていないのだろう。というか、二人が教えないのは基本的なクランのルールでもある。


俺は、こう答えることにする。

「たしかに、あの魔法は効果があります。でも、時間がかかりますし、施術の方法としてはあまり未婚の貴族令嬢にはふさわしくないのです。」


「その魔法は簡単ではないのですか?」


俺は慎重に答える。


「はい。いろいろ事前の準備が必要ですし、私の体力も使います。なので、基本的にはクランのメンバーになる相手にしか掛けないのです。」


俺は頭を下げる。 さあここで侯爵夫人はどう出るか?


「基本的に、と言ったわね。例外もあるのでしょう。」

ほら喰いついた。


「はい。例外は一応あります。 相応の対価をいただくこと、それから秘密を守ることです。


私はこの魔法を『究極魔法』と呼んでします。秘術です。だからハンナもアリスもプリシラ様に伝えていないのです。それはクランの掟でもあります。


この術のことが知られたら、世の中の女性の多くがそれを求めてくるでしょう。

私は一人しかいないし、冒険者として生活していきたい。それに学園にも通いたいのです。


この究極魔法は簡単には掛けられません。」


俺はもったいぶる。まあ、後半は本音でもある。金持ちの不細工ババアの相手なんてごめんだしな。


「そうなのですね。でも、それではプリシラは納得しないでしょう。秘密は守らせますから。」


俺は言う。

「でも、未婚の貴族令嬢には難しいです。侯爵様も黙っていないでしょう。」


「夫は私と娘の言うことに従います。だから問題ありませんわ。」


「そうですか、でも…。」俺は考えるふりをしてもったいぶる。


「では、少しだけ、どんな術をどう掛けるのか、教えてもらえますか。もちろん、秘密は守ります。」


「でも、私が言っても、それだけではお嬢様には信じていただけないのでは。」


夫人は笑う。

「では、まずこのアンで、少しだけ試してもらえませんか。それを見れば、判断できます。金貨一枚お支払いしますわ。」


アンとはプリシラのメイドだ。いつも練習の時は見張りをしてくれている。


ほんのお試しだけで十万円だ。気前がいいな。


「侯爵夫人、ありがとうございます。いただいた分、アンさんにちょっとだけ掛けてみましょう。 本来はいろいろな準備をするのですが、それは省きますね。


ベッドのある部屋で、アンさんには靴下を脱いでバスローブを着て寝転んでもらいます。

膝下のみ、ちょっとやってみますね。」


客間のベッドに、バスローブ姿のアンがうつ伏せになっていた。

当然、メイド服は脱いでいる。メイド服の広がったスカートの上からバスローブは着られないからだ。


侯爵夫人、プリシラ、ハンナ、アリスが見守る中、俺は言う。


「では、少しだけやってみます。実際はいろいろな道具も使って3-4時間かかるものですが、ほんの少しだけです。アンさん、始めていいですか?」


「はい、お願いします。」メイドのアンが答える。


俺は皆に向かって言う。


「私の『究極魔法エステ』は、私だけがユニーク魔法で出せる『ぬるぬる』と、特殊な魔力を使って、身体の血行を促進し、新陳代謝を促すものです。 身体内をめぐるいろいろな器官、つまり消化器、呼吸器、循環器のみならず神経やリンパも刺激します。」


この用語は、女騎士マーガレットの治療をした際におっぱいを揉んだりあそこに薬を入れた際に使ったものだ。


プリシラが医者に誉められた、と言っていたし、この言い訳は鉄板だろう。


「じっくり魔法の行使を行うことで、相手は身体が作り変えられるような気分を味わい、効果を得ます。


また、それには信頼関係も重要です。私を信じてゆだねていただきますし、秘密は守っていただきます。」


俺は再度プリシラと侯爵夫人を見る。二人とも真剣な顔をしてうなずく。


「では、アンさんの右足だけで軽くやってみます。」


俺はそう言って、うつ伏せのアンのバスローブをひさ部分までめくり上げる。


そして右足のひざ下から指先までを丁寧にマッサージする。

それが済むと、今度はぬるぬるを手に出し、ふくらはぎの裏側に塗る。


「これからが本番です。」俺はそう言って、ぬるぬるをひざ下全体に伸ばしマナを込めてゆっくりマッサージする。、


手の先からも追加で少しぬるぬるを出しながら、マナを込めて強弱のマッサージをする。


「ああ!」アンが何故か色っぽい声を出す。 俺はかまわずマッサージを続ける。

それを10分ほど続けたところで作業を終わる。


俺はハンナから蒸しタオルを受け取ると、アンの足をゆっくりと拭く。


「見本としてはこんなところです。皆さん、アンの左右の足を比べてみてください。」



「すごい…」プリシラの声が漏れる。侯爵夫人は扇で口を隠しているが、明らかに驚いている。


アンの右足だけ、むくみが取れて細くなり、産毛もなくなり、少しあったしみも消えている。

色も白くなり、艶が出て光っている。肌の張りも全く違う。


俺は言う。

「これを、道具など使いながら時間を掛けて全身に行うのです。時間も、私の体力も、マナも使います。

マッサージを全身に掛けるのです。当然、乙女の柔肌に触れることになります。


未婚の貴族令嬢に簡単に許されるものではありません。おわかりいただけたでしょう。」


プリシラも夫人も黙っている。


「効果はわかったと思うので、アンさんの左足もやって、バランスを取ります。片足だけ綺麗になっても困るでしょうしね。」


俺はそう言いながら、左足にも丁寧にぬるぬると魔法をかけてマッサージしていく。

全員がそれを無言で見つめている。


「はい、終わりです。アンさん、ありがとうございました。」



皆で客間を出る。俺はこっそりアンにささやく。

「今夜、部屋に来い。」


アンは真っ赤になる。



侯爵夫人とプリシラは、その後、アンを含めて話合いをしたらしい。

結果は聞いていない。 



その晩はプリシラとアンは練習に参加しなかった。俺たちは離れで練習し、マナピンポンもして、各自の部屋のベッドに入る。だが少しして俺は起きだし、離れの玄関の鍵をあけ、果実水を飲みながらほぼ真っ暗のリビングでリラックスする。



12時過ぎに、こっそりドアがノックされる。

俺はドアを開け、アンを迎える。アンはバスローブ姿だ。


無言のまま俺の部屋にアンを連れていく。


俺はアンを抱き締めながら言う。

「さっきは感じてたか?」


「ずるいわ。もう声を出しそうだったのを必死に我慢したの。」


実際は声が出ていたが指摘はしない。


「じゃあ、特別に続きをやってやる。 ただその前に確認だ。

ある程度綺麗になるライトコースと、すごく綺麗になるフルコースとどっちがいい?


フルコースの場合、綺麗で色気のある極上の女にしてやるし、

女の喜びも極限まで味わわせてやるが、そのかわり…わかるな? どうする?」


「…フルコースで。」アンは小声で答えた。


「わかったよ。究極に綺麗にしてやる。」


俺はそう言って、再度アンを抱き締め、キスをしながらバスローブを脱がす。


アンは下着をつけていなかった。


全裸のアンをまず、ベッドに座らせる。

俺も並んで座り、用意したグラスを合わせ、乾杯する。


飲み干したグラスをベッドサイドに置き、俺たちは軽くピロートークをする。


「さっきは声はあまり出さなかったけど、かなり敏感な感じだったな。」

「そうよ。あんなところ、ああいう風にされたら大変なのよ。」


「ま、それを狙ったんだけどな。」


「年下の癖に詳しいのね。」

「まあな。」俺は余裕である。一応、前世で経験しているからなね。


当時、エッチなお姉さんにぬるぬるしてもらったわけだけど、もしかしたらその印象が強烈だったから、転生したときにこの魔法を授かったのかもしれない。知らんけど。


実は、マッサージの時、他の連中には見えないように、こっそりとぬるぬるを彼女のふとともの付け根へ伸ばし、動かしていたのだ。俺のぬるぬるは、俺のマナで自由にコントロールできる。


なのでぬるぬるがあんなところを刺激したり、こんなところに分け入って動いたりしていたのだ。


左足のマッサージが終わるころには、彼女のバスローブの下は俺のものではない何かでぬるぬるしていたのだ。タオル地のバスローブが、実に不思議なことに、かなり濡れていたことになる。


中途半端で終わったわけで、続きをしてほしいとアンがここにやってきたわけだ。





アンの目がとろんとなる。さっき飲ませたのは、媚薬と痛み止め、そして少しの睡眠薬だ。全部ハンナが薬草から抽出している。


アンはより敏感になる。そして意識は現実と夢の世界を行ったり来たりする。


「今夜のことは二人の秘密だ。誰にも、何も言ってはいけない。ハンナやアリスにもね。」

朦朧としながらもアンはうなずく この状態で言うと、暗示にかかり言うことを聞くのだ。


俺はアンの顔にパックをする。そして最初からぬるぬるでマッサージをする。手だけでなく、全身で身体と身体をこすり合わせる。


要所要所には舌も使う。敏感に感じるところは、優しく撫でる。

筆を使った愛撫もする。


そして、準備が出来tところで、彼女を貫く。アンはもう十分に女性として成長しているし、本人の同意も取っている。そして痛み止めも飲ませているので、痛みよりは快感を得ている。


ついでに言えば、俺のぬるぬるは薄い膜となって隔てることもできる。何をとは言わないが。


俺のぬるぬる魔法の究極魔法『エステ』フルコースはアンを高みへと導いた。

彼女だけが何度も絶頂に達し、俺は耐えている。


ふとドアを見ると、なぜかドアが開いていて、二人が覗いているのがわかる。

まあそんなことは気にせず、俺はアンに「エステ」を掛け続ける。


俺は最初は余裕だったが、そのうちだんだん余裕がなくなってくる。

そしてフルコースは終わりに近づいた。


俺の視界にポップアップが出る。「至高の美容ぬるぬる準備完了」


その後も何度かアンを絶頂させた後、俺は言う。

「アン。仕上げだ。・口をあけてご覧。」


俺は、ンの口に。至高の美容ぬるぬるを注ぎこむ。


「そう。ちゃんと、全部飲んでな。飲み終わったら口の中を見せてごらん。」


アンは全部飲み込んでいた。


俺はアンに別のグラスを渡す。ただの果実水だ。

「これも飲んでごらん。」


アンが飲み込む。 まだ夢うつつだ。



「終わったよ、アン。 自分の部屋でおやすみ。」

アンはうなずいて、バスローブを羽織ると、ふらふらと部屋を出る。


廊下には顔を真っ赤にしたハンナとアリスがいた。

まあいい。見られて困ることはないからな。





翌朝、アンは美貌のセクシーメイドになっていた。

肌は輝くように白く、胸は大きく足はすらりとしている。


顔付きまで彫が深い美人になったようだ。

化粧もしていないのに美しさが際立っている。


他のメイドも下男も皆驚きながら見惚れている。


ちなみに、その日は俺も疲れているので、冒険者活動はお休みだ。

休養も必要だし、きのうは金貨一枚稼いだしな。



プリシラが俺をジト目で見る。ひざ下だけでなく、後から全身にエステを掛けたことが丸わかりだからな。



夕方、やはり侯爵夫人に呼び出された。

夫人が俺に言う。


「アンに聞いても、何があったのか言ってくれないのです。」

まあ、ちゃんと暗示をかけたし、言えないよな。もともと秘密なんだし。


侯爵夫人は続ける。

「だから、このままではプリシラにアレンの魔法を掛けていいのか判断できません。」


おや。判断できないの?この流れはやはり…


侯爵夫人はちょっと笑みを深めて言う。

W

「私が自分で確かめなければなりません。」



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