13. ステータスを見てみよう
俺はずっと、四六時中、自分の魔法を鍛えている。
見えない場所にぬるぬるを出したり消したりしながら、操作の繊細さを鍛えるし、ぬるぬるの質をいろいろイメージし、違うものを造ったりしている。
魔法はイメージだ。イメージを膨らませる。だがそれだけではだめだ。イメージを形にする実践が必要なのだ。
それには練習あるのみ。
ただ、一つ問題がある。いや本当は山積みなんだが、一番大きいものがこれだ。
この世界には、ステータスが存在しない。天賦の才の授与式で、神殿で読まれるだけだ。
その後、高いお布施を払えば、また見てもらえるが、それでも職業かスキルがあることを教えられるだけだ。
どれだけ強いのかとかわからないのだ。
トレーニングの結果、自分の、あるいはハンナの能力がどれだけ向上したかを測れないのだ。
だいたい、魔法がイメージの産物であるため、個人個人によって内容が違うのだ。
ファイヤーボール一つにしても、大きさや威力が違うし、詠唱の内容や有無もそれぞればらばらだ。
ということはステータスで「ファイヤーボール」があっても比較ができないことになる。
…待てよ。
魔法はイメージなんだ。可能性は無限なんだ。
そして、誰かがどこかで言っていた。
「無いならば、作ればいい」
俺はひらめいた。
ステータス魔法を作ろう。
俺以外には使えなくてもいい。むしろ秘密にすべきだ。
まずは基本の仕様を考えよう。
自分だけでなく他人のステータスも把握できるようにする前提で。
必要情報は何かな。
まずはなんでも項目を出す、。
名前
種族
年齢
性別
レベル 現在保有最大値
HP 生命力 現在保有最大値
MP マナポイント 現在保有最大値
マナ操作 現在値
状態
職業1
職業名
職業レベル
職業説明
関連スキル1
関連スキル2…
スキル1
スキル名
スキル詳細
スキルレベル
消費マナ
スキル2
…
特記事項
称号
まだまだありそうだ。でも、一変に表示すると訳が分からんと思う。
一番最初に知りたいことは、職業とスキルの名称、内容、レベルだな。
ここの世界レベルの概念があるかわからないが、なければ俺が基準を作ればいいのだ。
よし。
イメージを固めよう。
「ステータス!」
何も起きなかった。
もっとイメージを鮮明に、詳細にしないと。
イメージはタブレット端末でいいな。
実際、最低限の項目で、俺が知っているものを表示させよう。
名前 アレン
年齢 12歳
種族 人族
性別 男
職業 なし
魔法 ぬるぬる魔法
スキル なし
従魔 ギンガ
特記事項 転生者
これがタブレットに表示されるようなイメージにする。
最初のほうの項目は、当たり前のようなものだが、これが表示できれば、ほかのものも表示しやすくなるのでは、と思ったのだ。
俺は頭の中で考え続ける。
(目の前に透明なタブレットが出てくるようなイメージで…出た!)
ステータス項目を見てみよう。
名前 アレン
年齢 12歳
種族 人族
性別 男
職業 なし
魔法 ぬるぬる魔法 (ユニーク)
ステータス魔法(新魔法)
スキル なし
従魔 ギンガ (フェンリル)
特記事項 転生者
称号 「魔法とスキルの真実を解き明かす者」
「新たな魔法を作りし者」
「神獣を従えし者」
項目をタップすると詳細が出る。
「ぬるぬる魔法(ユニーク)」をタップしてみる。
…ぬるぬるを出したり消したりできる
それだけかい!まあ、書かれてるとそれに縛られるような気がするし、まあいいか。
あと、ステータス魔法、というのが創造されたようだ。あえて新魔法って書いてある。
「新魔法」をタップしてみる。。
「…従来存在しなかった新しい魔法。創造者にのみ(新魔法)と記載される。」
…解説ありがとう。)
それから…フェンリル?!
フェンリルと言えば、伝説の神獣だ。
氷魔法を操り、地を駆ける最強の神獣の一つだ。
おいおい、大当たりじゃないか。これは秘密にしないとな。
もしかしてこの出会いも転生特典かな?
ギンガとの付き合い方も考えないとな。
あと、意識していなかったのにに、称号の欄ができている。
「魔法とスキルの真実を解き明かす者」タップすると内容 が表示される。
「この者は異世界より転生しこの世界の魔法とスキルの真実を解き明かす。消費マナポイント半減、マナポイント回復速度倍、マナポイント増加率上昇」
…
やはり、マナポイントがあるのか。
内容についてはじっくり検証しよう。
そして最後
「「新たな魔法を作りし者」だ。
タップするとこうあった。
「新たな魔法がこの世界において創造された。当該魔法の仕様様マナポイント極小化」
…要するに、ステータスをみるtのにマナポイントはほとんどかからない、ってことだね。
ありがとう。
「神獣を従えし者」
文字通りの意味なら説明だけだが。
どれどれ。タップしてみよう。
「…遠隔でも神獣との間で念話でき、召喚、送還が可能。」
何これすごい。でも、ほかのやつに知られたらあかんやつやな。
召喚、送還はとりあえず封印。
でも念話ができる?
男のロマンだ。やってみよう。
俺は、頭の中でギンガを思い浮かべながら、心の中で話しかけてみる。
「おいギンガ、聞こえるか?」
藁の寝床-の上で寝ていたギンガは立ち上がり、俺のほうを見る。
「アレン、やっと話しかけてくれたね。」
おお!感動だ!
「ギンガ、お前フェンリルだったんだな。何か気を使ったほうがいいところはあるか?」
「特にないよ。あ、強いていれば、暑いのはちょっと苦手かな。」
まあ、犬だって狼だって苦手だろう。
「お願いだ。人前ではあまり巨大化しないでくれ。
「まあ、今はこの大きさだよ。大人になるまでに100年はかかるから、当分は変わらないよ。」
「…そうか。まあ今はいいかな。これからもよろしくな。」
「うん。 僕、眠いから寝るよ。おやすみ。」
「ああ、おやすみ。」
このあともいろいろステータスをいじってみた。
気が付いたら、空が白み始めている。
とりあえず寝よう。俺は社畜時代からも完徹はできないタイプだったからな。
ベッドに入って一秒で熟睡モードになった俺だった。
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