第12話
「──模範解答ではないな。だが、素因数分解に目を付けたのは悪くはない。75点だな。入館試験なら、ギリギリ合格といったところだ」
緊張で上がった肩が、すとんと落ちた。
ギリギリでも合格したことに安堵した。と同時に、一気に悲しくなってきた。
「ん? どうした? 嬉しくないのか?」
アリスさんの言葉に返す。
「安心しましたよ。でも、ギリギリで合格、なんてものに安心した自分を情けなく思いました。それに、この問題を解いただけです。術を見破ったわけじゃない」
「おう、そうだな。じゃあ訂正しよう。30点だ。全然だめだめだな。精進しろ」
アリスさんはそう言い放った。その表情は、なぜか満足そうだった。
「じゃあアル、ジオにこの術を教えてやれ」
「──この? 術?」
「ああ。別にこんなもの、未知でも何でもない。1年前には発見してた術だ」
「──え?」
素っ頓狂な声が出た。
「この術? を知っていたんですか?」
「ああ。別に大した事でもないだろ」
二度目の肩落としだ。
同時に笑いが込み上げてきた。
さすが天才だ。
その天才が、この術を解説してくれる。
「この術は分数の逆数が重要なんだ。ジオ、なにか一つ分数をちょうだい」
「じゃあ 3/4 で」
「そうしたら、 3/4 とその逆数の 4/3 を使うね。二つの数を足すと 25/12 引くと7/12 になる。ここまではオーケー?」
「ああ。大丈夫だ」
「じゃあ、分子に出てきた、25と7。それに分母の12、これは2倍して24にするね。この25と7と24で三角形を作ると直角三角形になります!」
「──え? そんなことある?」
頭の中で計算するよりも早く、アルが答えを言ってくれる。
「24×24=576。7×7=49。二つを足すと625。25×25=625。つまり、24×24 + 7×7 = 25×25、だね。というわけで、直角三角形になります」
「うわ、本当だ」
「分母を2倍する、のがポイントでココをうまく使うと偶数を一辺にもつ直角三角形をうまく作ることができるよ」
私は、目をぱちぱちさせた。
さすが天才だ。頭が良すぎて、付いて行けない。
でもまぁ、ピタゴラスの出した術は既知の物であったことが分かって、ほっとした。
アリスさんはそんな私を見て、言った。
「安心するのはまだ早いな。この事件、国とピタゴラスの間だけじゃ終わらんぞ」
「どういうことですか?」
「国がお抱えの数術師も無能じゃない。ピタゴラスが只者じゃないと気が付くはずだ。国家数術師が優秀であれば優秀であるほど、自分たちの手に負えないことだと、気が付くもの早くなる。そうしたらどうなると思う、ジオ?」
「そうですね。私が国の立場だったら──」
そう考えると、答えはおのずと出る。
「数術の専門機関。
私の言葉が終わってすぐ、
アリスさんは鼻を鳴らして言った。
「昨今の国家数術師は、ずいぶんと優秀らしいな」
ピタゴラスの折り紙 文月やっすー @non-but-air
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