じんるい の あゆみ

やざき わかば

じんるい の あゆみ

 たいこ の むかし、そこ は こうはい した だいち でした。


 それ を みつけた じんるい。


 みな よろこび いさんで すきなよう に すきなかたち に すき な いえ を たてました。


 こじん が たてた その いえ に、いろいろ な おきゃくさん が きたし、その いえ の もちぬし も、ほか の いえ に あそび に いき、しゅうらく は さかえました。


 その じゆう で そうぞうてき な じかん が ゆらり と ながれ ながれて、すうじゅうねんご。


 きょだい な そしき が のりこんで きて、きょだい な しせつ を つくり、こう いいました。


「もう じぶん で つくらなくて よいのです。わたし を たよって みませんか」


 いままで じぶん で じぶん の いえ を つくる ばいたりてぃ を もちあわせない ひとびと は、その かんげん に のり、そしき の つくった しせつ に たいきょ して おしよせました。


 それ に こおう して、いままで じぶん の いえ を つくっていた ひとびと も、「これは のりおくれたら たまらない」と、つくった いえ を ほうき して、その しせつ に きょ を かまえました。


 そして、みずから が つくる ”ぎじゅつ” は しゅくしょう してしまい、ほぼ なくなって しまった の でした。


みな、「べんり に なった」と わらって います。その そしき に いのち を にぎられている こと に きづかず に。


 …………


「博士、これは?」

「インターネット黎明期からの手記だろう」

「しかし、これは」

「ああ、人類が歩んできた歴史そのものだな」

「ひどい。なんとかできないのですか」

「なにがひどいものか。これで世界は回っている。なにも不都合など、ないではないか。長いものには巻かれる。いわゆる処世術だな」

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