第34話「最後の戦い、最後の決断」

 この世界の人間達は、おかしい。


 魔法少女になれる因子の正体は混沌因子。


 人間は巨大な力を手に入れたら私欲で暴れて混乱と混沌と無秩序を作るものじゃないのか?


 なのに、敵役として異世界のモンスターを仕向けたのに、ワタシが知る限りでは、私欲で暴れた魔法少女は居ない。


 全ては秩序、安寧、平和、他者を守り、守護する事に使ってる。


 なぜ? なぜなぜなぜ?


 ラグナラスの人間達は混沌を愛してたのに、こちらの世界は平和を愛しているのか?


 ますます分からん。混沌こそが人間の本質だと父様から聞いてたのに。


 ……ワタシが、間違っていたのか?


 混沌覇王の娘であるワタシが?


❤︎


 モンスター被害が一番酷かった廃都市に私達は向かいながら考えていた。


「これが、最後の戦いになるんだね。レイサちゃんは、ブラックハウンドに戻る必要性はないけど、まだ魔法少女を続けてくれる?」


「そうだな。ブラックハウンドの大人達を納得させるには、魔法少女として活動を続けることだから、ミチカと別れる事はないな。それよりもお前はどうなんだ?」


「何が?」


「ネロスの狂愛を治せるのはミチカだけなんだろ? なら、私と二股することになるが、それで良いわけ?」


「言い方悪いな。ネロスの面倒は見るつもりだけど、ほら、ネロスと四天王達と会話してて思ったけど、あの子達にもちゃんと人間と同じ心を持ってる。なら、この世界の復興を手伝いながらネロスのサポートをして、どうやったら狂愛を治せるか一緒に考えようと思う」


「ミチカらしいな。さてと、決戦の場に着いたぜ」


 私とレイサちゃんは、ラグナラスへと続く巨大な門の前に立っているジェシカと対峙した。


「やはり来たか。モンスターを操ってもダメ、魔法少女に頼るのもダメ、ならどうやったら、この世界を混沌にできるか考えていた」


「つまり、そのラグナラスの門を破壊して二つの世界の空間を破壊する。それが目的だねジェシカ」


「あぁ、最終手段だが、これしか手が無いからな」


「そうなんだ。これが最後の戦いになるけど、戦う前に約束してほしいことがある」


「なんだ?」


「私達が勝ったら、混沌思想なんて手放して、友達になってくれないかな?」


「……本気か?」


「本気、ちゃんと他の魔法少女達、モンスター達、そしてネロスの同意を得た上での結論だよ。ジェシカは混沌覇王の娘だけど、混沌覇王本人じゃない。いつまでも混沌覇王の真似事をするのは、もうやめた方が良いよ」


「それ、ワタシを怒らせる言葉だけど、良いのか?」


「もちろん、私達は、本気のジェシカと戦って友達になる覚悟を決めてきたから。いくよ! 最後の、最後の変身!!」

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