第27話「ネロスとの決戦」

 誰もネロスの事を知らない。


 誰もラグナラスと言う異世界でネロスが何を成し遂げ、何故モンスターを統べる者となったのか。


 何も知らないこちらの世界からしたら、モンスターと言うだけで人類の脅威になっている。


 全ては計画通り、後は工藤 ミチカとネロスが合体すれば、私の計画は完了する。


 名無しの魔女の役も終わる。


❤︎


 私達はネロスとの決戦場所として荒野を選んだ。


 ネロスもこれ以上、被害を出したくないと言う理由で荒野が選ばれたのだ。


「来たか、ミチカと……黒髪の誰かさん」


「マジでミチカしか眼中にないのかよ。私はレイサだ。ミチカと戦うには私が必要だから来た」


 ネロスは、以前は真紅のドレスだったが、今は全身真紅の鎧に包まれて、手には槍と斧が合体した武器ハルバードが握られていた。


「じゃあ行くぞ、変身!」


 私達はいつも通りステラに変身したら、ネロスの方から不満の声が上がった。


「ずるーい、ランザクから聞いてたが、二人で一人の魔法少女とかずるくない? 余もミチカと合体したいのだが」


「嫌だからね!? 良いからさっさと始めよう!」


「うむ、そうだな」


 ネロスがハルバードを天に掲げると、空から雷が落ちてハルバードに雷霆らいていがまとわれた。


「ゆくぞ!」


 ネロスがハルバードを一振りしただけで空間そのものを切断してきた。


「えぇ!?」


『よけろミチカ!』


 ステラの全魔力をジェット噴射に使って回避したが、ネロスが一瞬で間合いを詰めて二撃目を発動した。


 今度は地面そのものを真っ二つにする斬撃を放って、空間からはブラックホールが発生して、地面は奈落の底に変貌してしまった。


 たった2回の攻撃でこんな事になるなんて。


 これが魔恋皇帝、今までの敵とは違いすぎる。


 本当に私達だけで戦って良い相手なのか?


 ガイアちゃん、キリちゃん、イナリちゃんは、今回は手を出さない事になった。


 もしもネロスを怒らせたら、せっかくの和平交渉が破綻するからだ。


 とは言え、全然勝てる気がしないのだが!?


 これってアレだよ? 目の前にラスボスが居るのに仲間の力が借りられない絶望的な状態じゃん!


「ぬぅ、歯応えがないな。ラグナラスを脅威に導いた混沌覇王の方がマシだったな」


 こうなったら、レイサちゃんと考えた作戦を使うしかないのか。


「ネロス、よく聞いて!」


「ん? どうしたミチカ?」


「大好きだよ!」


「おおおおおおおおおん」


 今がチャンス!


 レイサちゃんからこの作戦を聞いた時は卑怯じゃないかと思ったが、勝てば良かろうなのだ! と言い切ったのだ。


「ステラブレイバー!!」

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