第25話「運命の赤い糸」

「変身を解除してほしい。余に戦う意志がない事ぐらいわかるだろ?」


 ネロスを怒らせるのは良くない。私達はお互いに目線で合図を送って全員、変身を解除した。


「ほぉ、元の姿に戻ったら、随分と印象が……おおおおおおおん」


 え、なに? ネロスが謎の悲鳴をあげ出した。


 何が起こったのか分からないまま、ネロスは私の方を見た。


「そ、そなた、名前は?」


「工藤 ミチカです」


「見つけた、見つけたぞランザクよ。余の、私の運命の相手が!」


 ???


「一目見て分かったぞ、余とミチカとの間に赤い運命の糸があると言うことがな!」


 はい?


「ま、まさか、魔女の言う通り、ステラが聖女だったのか?」


 ランザクも動揺してる。


 えぇ? 私が聖女? どう言う意味だ?


 私の事情などお構いなしにネロスがグイグイ近付いてくる。


「さぁ、結婚式を挙げよう! 恋人としての交際などどうでも良い! 今すぐミチカと結婚式を挙げて、我等が世界『ラグナラス』に戻って一生を過ごそうではない!」


「ちょー! 何勝手に話を進めてるの!? 女の子達を解放する話は!?」


「あ、うん、それはランザクに任せる。それよりミチカは結婚式はどんな感じが良い?」


 こ、これが魔恋皇帝、運命の相手を見つけたら何も見えなくなるのか。


 私達のやり取りを見ていたレイサちゃんが私とネロスを引き剥がした。


「悪いけど、ミチカは私のものだから、まずは私の許可を取ってもらおうか」


「は? 何者だ? ははーん、さてはヤキモチだな?」


「魔恋皇帝がこんなにもウザい相手だとは思わなかった。ならこうしよう、女の子達を解放したら私達と戦ってもらう。私達が勝ったら黙って元の世界に帰れ。OK?」


「うん、良いぞ!」


 良いんだ!?


❤︎


 魔恋皇帝ネロスは約束通り女の子達を解放してくれた。


 これにより、もう女の子達がモンスターに怯える必要性は無くなったのだが……。


「レイサちゃん、なーんでネロスと戦う事にしたの?」


「だって、ミチカを取られたくなかったから」


 私達のやり取りを見ていたナナさん、エリマちゃん、ヤツハちゃん、そしてカエリ社長は悩んでいた。


「なんか、本当にモンスターの脅威が無くなったとはいえ、今度はミチカくんが危ないのか」


「もー、なんで私が聖女なんだよー、もしもネロスと合体する事になったら嫌だからねー」


 愚痴をこぼしながら、私達は対ネロス戦の作戦を考えていた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る