第10話「他の魔法少女達」

「ちっ、ハズレかよ。最近強い奴に会えないな」


 カウボーイのような衣装の魔法少女が拳銃をくるくる回した後に拳銃をホルスターに戻した。


「しかし、ステラとガイアのコラボ配信はデカい収穫だよな」


「そうだねぇ、聖女、四天王、そして魔恋皇帝ネロス。一気に情報が開示されたけど、一つ問題がありますわねぇ。つまり、モンスター達は魔恋皇帝の意思で動いてるのか、魔恋皇帝の意思とは無関係で動いてるのかが問題やねぇ」


「もしも魔恋皇帝って奴が親玉なら倒せば良いが、そうじゃないなら倒す意味がないどころか、モンスター達に誘拐された女の子達が殺されるリスクがあるのか」


「やはり、ワイ達の当面の目標は四天王かねぇ、四天王がリーダーっぽいし、残り3人が誰なのか知りたいわねぇ。と言うか、ワイ達がステラちゃんとガイアちゃんの仲間になるのは?」


「やめとけやめとけ、魔法少女同士が共闘するのも変な話だろ? オレ達は別々の企業のスポンサーになってるんだ。他社の魔法少女に味方をしたらクビになるかもだろ?」


「えぇ? 変な話やねぇ、魔法少女同士で手を取り合えば良いのに人間達の都合でできないとか、人間さん達は世界の危機よりもお金が大事なんかね?」


「そう言うわけだ。アンタとこうして会話できてるのも、たまたま同じモンスターを追ってたからだ。じゃあな狐巫女系魔法少女イナリ」


「えー、ここでお別れかいな。この後オフ会したいわぁ。でもまた会おうね狙撃系魔法少女キリちゃん」


❤︎


「はー、つっかれたぁ、モンスターを入れるカプセルって小さいよな。よくこんな小さい装置の中にモンスターが入るな」


 オレは狙撃系魔法少女キリの中の人『江ノえのしま エリマ』。


 魔法少女なのに銃火器使うのかよと何回もツッコミを喰らうが、仕方ないだろ、好きで銃火器使ってるわけじゃないし……あーもう! 本当は流星系魔法少女ステラみたいにキラキラしたかったわ!


 オレだって、本当はファンシーな魔法少女に憧れてたのに、なんで魔法少女になったら銃火器が出てくるんねん。


 そのせいで毎日射撃訓練させられて嫌なんだよなぁ。


「あれ? エリマちゃん? こんな所で何してるの?」


「ん? あぁミチカか」


 工藤 ミチカ。コイツとは幼馴染だし、同じ学校のクラスメイトなんだよな。


 学校では魔法少女に変身できるのは隠してるし、ミチカにもバレたくないんだよな。


「ここら辺って、モンスターが出やすいから早く安全な所に行こう」


「そうだな……なぁミチカ、流星系魔法少女ステラに会う方法ってないかな?」


「んん!? な、なんで?」


「いや、その、オレってファンだし。てか、女なのに一人称が『オレ』の女の子のオレにステラが会ってくれるかな?」


「え、えーと、あ、会えるんじゃない? たぶん」


「そうか、帰りにソフトクリーム食おうぜ」


 はー、ミチカにステラの事を言っても無駄なのは分かってるけど、それでも直接会ってキラキラになる方法を教えてほしいな〜。

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