第48話「無限の可能性」
「コードブレイクが使えなくなった?」
私達が魔界から人間界に戻った後に異変に気付いたのが、人間界に戻ってきてクリアラス帝国で怪盗エンターテイメントをしてた時だった。
これに関してはカエリア大臣の検査を受けた結果だが、驚くべき事実だった。
「えへ、その、リミカさんは、もう魔王の娘でも魔剣の娘でもなく、普通の人間になったのです。もう魔界の住人ではなくなったようです」
「は? なんで?」
「その、ワガハイは詳しくないのですが、白銀の魔剣クロスレインは、リミカさんの存在証明、すなわちリミカさんが生き続ける為の生命維持装置だったのです。それを破壊した結果、リミカさんの存在に矛盾が発生して、逆説的に人間になったと、ワガハイは考えてます。つまり、クロスレインを破壊する事そのものが危険な行為だったとしか……」
そうだったの!?
一歩間違えたら、自分が消えてたかもしれないのか!?
「え、じゃあもう魔界には行けないし、コードブレイクも使えないと?」
「ふぉふぉふぉ、心配しなくても良いですぞリミカ姫」
聞き覚えのある声が聞こえたので振り返ると、いつの間にか軍師が立っていた。
「たしかにリミカ姫は完全なる人間へと進化してしまった。なら、それは良い事では?」
「どう言う意味?」
「人間には無限の可能性があるでしょ? 人間じゃないとなれない職業、怪盗も良いですが、怪盗に役に立つ職業を選ぶのもリミカ姫の自由、どんな人生を歩むのも自由。リミカ姫は人間になる事で無限の可能性を手に入れたのです」
「無限の可能性か……あの後、魔界はどうなった?」
「まぁ、リミカ姫が居なくなって、クロスレインも破壊されましたが、今では怪盗エンターテイメントの話題で持ちきりですな。この軍師が魔界図書館で勉強してまで怪盗専門学校を開く事にしましたし。これも全てはリミカ姫とクラウンバレットの皆様のお陰です」
軍師が深々と頭を下げた。
後日談だが、医療国家だったニシリカの悪事が他国に知れ渡った事で医療制度そのものの見直しや、魔界で悪さをしてた連中の一斉摘発が行われたそうだ。
そして、ニシリカから盗んだ聖者の針と魔界の鍵のお陰で、クリアラス帝国の財政難は無くなったらしい。
それでも私達は、怪盗を続けるだろう。
人間として生き続ける為に。
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