「うわぁぁぁ！！　アサン、あの触手に捕まるな！　ワタシは食われたくないぞぉ！」

『ええい！　こっちはリヴァイアサンとして体がデカいのに無茶言うな！　しかし、軍師の10本の触手が邪魔で軍師の胴体に回り込めないのは事実か』

　なんとか防戦一方な戦い方で、アサンが軍師に食われないように立ち回ってるし、襲い掛かる触手をレミアが切断してるが、斬ってもすぐに再生してしまう。

『ふぉふぉふぉ、この軍師が言うのもアレですが、ギブアップします？』

「したいけど、どうせその先の展開すらも予想してんだろ軍師！」

『ふぉふぉふぉ、そうですな。諦めた瞬間にバクリと行きますかもしれないし、かと言って水中に潜ると、この軍師の方が有利ですし。これはクラウンバレットの皆様の詰みではありませんかな？』

　言い返してやりたいが、軍師に勝てる手段がない。

　アサンも魔法を使ってるが、全てがブラックホールみたいな巨大な口に吸い込まれて吸収されてしまう。

　レミアの攻撃も今一つだ。

　しかし、そんな事を考えていたら空から二つの影が降って来た。

「くらえ！　聖剣ネメシスよ、目の前の魔物を食い殺せ！」

　現れたのは、ニシリカで戦ったガラハンと、死神の少女だった。

　あの死神の少女はディンが言ってたラカと言う少女か？

　二人は軍師の触手を攻撃した後にアサンの背中に立った。

「ガラハン……お姉さん！？」

「よぉエルフの嬢ちゃん、援軍として来たぜ」

「なんで人間のアンタが魔界に居るんだよ！？」

「ラカに頼んで、カオスゴーストとしての力を使って魔界に来たわけだ。エルフの嬢ちゃんがピンチになる瞬間を狙ってました」

「……普通にストーカーしてたの？　こわっ」

　レミアが背筋に悪寒が走っていると、ラカが空中に浮かびながら軍師に向かって大鎌を振るった。

「くらえ！　絶死！」

　ディンが言ってたラカの即死技が発動したが、軍師には効いてない様子だった。

「ふぇぇ、クラーケンみたいな巨大な魔物に絶死なんて効くわけないよぉぉ」

「でもラカ、今一瞬だけ動きが止まったぞ？　もう一度攻撃しろ。その隙にワタシがエルフの嬢ちゃん達の道を作る！」

　援軍が来たのは嬉しいが、軍師はガラハンの持ってる剣に向かって言い放った。

『ふぉふぉふぉ、それは魔剣ネメシスガラディーンじゃな。ニシリカと癒着してた魔界の連中が使ってた魔剣を使う人間が居るとはな』

「…………これ聖剣じゃなかったのぉぉぉ！？」

「今更かよ！」

　レミアにツッコミを入れられても、ガラハンは魔剣を構えた。

「くっそぉ！　ワタシを騙したニシリカ王をぶん殴ってやる！」