第40話「最後の怪盗開始!」

「賭け? 賭けってなんだ?」


 魔界に住む住人達に賭けの文化がない事にクラウンバレットの獣人達は驚いていた。


「そ、その、クラウバレットの皆さんがリミカ姫を誘拐できるか、もしくはリミカ姫が勝つかの賭けです。賭けに勝った人達には倍の金額が支給されます」


「え!? そんなすごいシステムがあったのか!?」


 賭けの受付をしてる獣人の女性は考えてしまった。賭けの文化が無いという事は、いくらでも違法賭博を導入できる危険性があるなと。


 そこに関しては軍師と相談して、もしも違法賭博をした者は晒し者にすると言う提案がされたけど、晒し者って何されるんだろうか?


 あの軍師の思想はどこか過激だから違法賭博が発生しないように100人の獣人達による監視体制がかれた。


⬛︎


「ふふ、今度は私がリミカを誘拐する出番が回って来たか。楽しみだな」


 リミカが居ないので、この私サラが臨時のボスを務める事になりました。


「おいおい、あの軍師に手加減しなく良いなんて言って良いのか? 平気で魔界を滅ぼそうとか考えるヤバい奴だぞ?」


「レミアちゃん、これは魔界を救うエンタメだよ? これが自作自演だとバレたらつまらないじゃん」


「がうがう、サラの言う通りだな。ディンも本気出すのだ!」


「うむ、我はリヴァイアサンだしな。我が本気を出しても大丈夫な相手を用意すると軍師は言ったが、そうなると先代魔王軍の最高戦力が来るかもしれないぞ?」


 アサンちゃんの言う通りだ。こちらの戦力も十分だけど、それでもリミカ抜きで行けるかどうかは、やってみないと分からない!


⬛︎


 私達は分散してリミカが居る玉座の間に向かっていた。


 軍師さんには私達の作戦は明かさない約束だったし、軍師さんも自分の策を明かさない約束をしたから、本当に怪盗としてお互いの手の内を明かさない真剣勝負をする事になった。


 私が一人で見張りを掻い潜り進んでいると、上から大きな物体が落ちて来た。


「あら? かわされたわね。アナタが軍師の言ってたハーフ天使ちゃん?」


「アナタは?」


「ワタシはアラクネのネフェルト。前は魔王軍12魔将の第4席だったけど。先代の魔王様が死んでからは魔界のスナックのママになってたわ。うーん、久しぶりの運動だから、15年前より弱くなってるかも」


 アラクネ、上半身は人間の女性だが、下半身は巨大な蜘蛛くもの魔物。


 いきなりの強敵だが、ワタシはひるまなかった。


「ネフェルトさん、私はサラと申します! 手加減無用で来てください!」


「良いのぉ? ワタシが天使ちゃんの相手が務まるか分からないけど、よろしくねぇ」

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