第25話「怪盗続けます!」
「え? えへえへ、サラリス様、本気ですか?」
「本気だよカエリア、リミカにも言ってきたから」
「えへ、つまり、第一王女に戻るつもりもなく、謎の仮面少女サラの正体を明かす事で怪盗エンターテイメントを活性化させて他国に対抗しようと?」
「そう、実は謎の仮面少女サラはサラリス本人だったと国民に伝えるの」
「えへ、マジですか? その、ワガハイのせいなのは分かってますが、国民が納得しますかね?」
⬛︎
「新刊! 新刊!」
強欲のネックレス破壊から三日後のことであった。
クラウンバレットに加入した謎の仮面少女サラの正体はサラリス王女本人だったと明かされた。
これにはカエリア大臣はヒヤヒヤしていたが、大臣の予想とは裏腹に、王女が怪盗をできていた事に国民は驚いて、逆に賞賛の声が上がった。
ちなみに、カエリア大臣に取り憑いていた悪魔を退治する為とは言え、帝国の基盤であった四つの財宝を奪ってしまった上に、折れた聖剣、獣王の王冠は元の持ち主に返す事は不可能であった。
なので、クラウンバレットはカエリア大臣をスポンサーにする事で、新たな基盤となる財宝を奪わねばならない。
つまり、折れた聖剣、獣王の王冠に匹敵する財宝を国内ではなく他国から奪うと言う大胆な作戦に出た。
予告状も他国に送り、怪盗エンターテイメントを活性化、および他国と連携して本当にクラウンバレットが他国から財宝を奪えるかの争奪戦が始まった。
⬛︎
「いやー、一時はどうなる事かと思ってたが、何やかんやで上手くいったな」
私達クラウンバレットは大所帯になってしまったので、カエリア大臣が用意してくれた新たなアジトを拠点にしていた。
前のボロいアジトではなく、新築の屋敷であった。
「がうがう! アサンの頭に乗るとディンが大きくなった気分になるぞ!」
リヴァイアサンとしての巨体を持つアサンですら伸び伸びとできる中庭まであるし、100人の獣人達の中には子供達も居て、ディンと共にアサンの頭やら背中に乗って遊んでいた。
「なんだか賑やかだね。次の獲物は決まってる?」
「そうだな。次はニシリカと言う国にある『聖者の針』を奪う。この針はこの世のあらゆる病気や毒を治す効果がある。これで私の両親を助けるつもりだ」
「協力するよリミカ! 私はもう王女様じゃなくて、クラウンバレットのサラだから!」
「あぁ、頼むぜ相棒!」
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