第21話「リミカの真実」

「な、何が起こった、みんな! どこだ!」


 私は必死に叫んだが、そこは見渡す限りの暗黒だった。


 国民も居ない、仲間も居ない、私だけが闇の中に居た。


 パチパチ、と背後から拍手が聞こえたので振り返ると、そこには大臣のカエリアが立っていた。


「お前、なんなんだよ? なんでコードブレイクが使える? それにオメガってなんだ?」


「そうだねぇ、ここまで辿り着いた君にだけ教えよう。コードブレイクとは、そもそもこの世界に存在する者には扱えない禁術なのだ。そして、コードブレイクは人間が扱える禁術ではない」


「何が言いたい? それだと私は人間じゃないみたいじゃないか……」


「いや、君は人間ではない。君を人間だと洗脳してきたのは君の両親の方だ。君と両親には血の繋がりはない」


「嘘を吐くな!」


 私は感情任せにカエリアに殴りかかったが、あっさりかわされてしまった。


「嘘じゃない。コードブレイク『アルテマ』は確かにこの世全ての魔術、ステータスを剥ぎ取る万能な禁術だ。そして、私が使ったコードブレイク『オメガ』とは、この世全ての善意を剥ぎ取り悪意を公開する禁術だよ」


「善意を剥ぎ取る? なんだよそれ」


「そうだな、君には真実を見せてやろう」


⬛︎


「やった、ついに魔王を倒したぞ!」


 あれは、父さんと母さん? これって、父さんと母さんが勇者のパーティに居て、魔王を倒した瞬間か?


 ーーえーん! えーん!


「赤ん坊の泣き声?」


 あれ? この目線って、私が赤ん坊だった頃の時代か?


 うわ、母さんと父さんの顔、めっちゃ若いな。


「……この子は魔王の子だ。殺そう」


 え、ちょ、待ってよ! 父さん! なんで剣を構えるのさ!


「やめて! この子はまだ赤ん坊じゃないか! それに、魔王の子でも人間として育ててあげれば悪い子にはならない!」


 そうか、この時に母さんが私を守ったのか。


 こうして、私は自分が魔王の娘だと何も知らずに人間として育ったのか。


⬛︎


「で? だから何?」


 私は自分の真実を見ても驚くことはなかった。


 私は真っ直ぐカエリアを睨み付けた。


「仮にこれが真実だとして、私がお前の味方になるとでも? くだらんな、精神攻撃をしたいなら、もっとマシな事をしたらどうだ?」


「……はぁ〜〜〜くっだらな、何? そこで真実よりも両親の愛が重要だと言いたいのか? ふーん、まだ私のコードブレイクが弱いのか? さすがは魔王の娘だな」


「ほざいてろ、この程度で私は折れないぞ」

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