第13話「リミカとサラの会話」
「はぁ、なんか次々と仲間が増えるな。クラウンバレットって仲間を滅多に作らない怪盗団なのに」
私は一人で愚痴をこぼしていると、サラがやって来た。
「あと一つだね。次はマカロン家の『獣王の王冠』だね。すでにカラトリ家、ハラサカ家、ネルソン家は自分達を象徴する財宝を失ったことで行動を起こしてるみたい。後は獣王の王冠を手に入れたら私達が四つの貴族に潜入して大臣に近づけば強欲のネックレスが手に入るよ」
「……その事で相談したいんだが、サラ……強欲のネックレスで私の家族を助けるのはダメか?」
「え、リミカの家族? どんな人達?」
「う、うん、元々は勇者のパーティの一員だった父と母が旅の途中でモンスターの毒に侵されてな。治療法はあるんだが、あまりにも高額な値段を提示されてな。私を養う事ができなくなった父と母は病院に監禁されて、私は貧民地区で暮らすしかなかったんだ。なんとか両親を助ける為に怪盗やってるんだが……」
「両親は、まだ生きてるの? 何のモンスターの毒を浴びたの?」
「ヒュドラだ。蛇型のモンスターで頭が沢山あるやつ。死にはしないが、ヒュドラの毒に侵されると死ぬ事もできずに苦しみ続けるらしい。しかもこの毒の厄介なところは他の生物にまで感染する能力を持ってる。だから両親は隔離されてるし、私はもう10年は会ってない」
「10年って、つまりリミカが6歳の頃の出来事だったの?」
「あぁそうだ。本当は良くないのは分かってるが、強欲のネックレスを使わせてくれ。両親を助けたらサラに渡すと約束するから」
「……ごめん、無理」
「なんで?」
「強欲のネックレスを使用したらネックレスに宿る悪魔に操られるそうなの。そして、操られてる本人は操られてる自覚が持てない。残念だけど、強欲のネックレスは破壊するしかない」
そうだったのか、少しでも希望を持ってたが。
まぁ、新たな取引先のメイレーンと交渉すれば何とかなるか?
私は自分の頬を叩いて気を取り直した。
「よっし! やっぱり楽な道なんてないか! ヒュドラの毒を治す方法は金以外にもあるかもしれん! まずは、獣王の王冠を手に入れて大臣をぶっ倒せば良いんだな! ありがとなサラ、こうして相談しなかったら私も強欲のネックレスの悪魔に取り憑かれてたかも」
「気にしないで、もしもリミカに悪魔が取り憑いたら、私のキスで追い出すから!」
「はは、頼もしいな。んじゃまぁ、やるとするか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます