第8話「ぼったくり」

「おほー、ここがリミカとサラの愛の巣か! 良き場所だな!」


「こら、アサン! ここはクラウンバレットのアジトだよ! てか、まだお前を仲間にするなんて決めてないからな!」


「むすー、何を水臭い事を言うとるねん。我の前であーーーーんなディーーープなキスを見せつけたリミカちゃんがなーーーにか言ってるぞぉ??」


 えーー!? リヴァイアサンって高度な知性を持つ海のドラゴンじゃなかったのか?


 あ、なるほど、高度すぎて一周回ってバカなんだなコイツ!


「さて、ハラサカ家から無事に逃げる事ができたが、このアトランティスの涙をどうするんじゃ?」


「え、闇市に売るけど?」


「は? ちょっと待てリミカ、まさかこれまで盗んだ宝を全て闇市に売ってるのか? これまで盗んだ財宝のリストを見せろ!」


 アサンが私達のアジトを漁って、これまで盗んだ財宝のリストを見つけてチェックした後に、教えてないのに金庫の場所にまで向かった。


「お、おおおお前ら我よりもバカなのか? これだけの財宝を奪って、この程度な金額な訳ないじゃろ! 完全にぼったくられてるぞ!」


「……ええええええ!!?」


⬛︎


「リヴァイアサンだー! 逃げろー!」


『ぐははは! 愚かな人間どもよ! クラウンバレットが盗んだ財宝を全て我の前に並べるのだ。我は鑑定眼と言う魔眼の持ち主なり!』


 アサンが、リヴァイアサンの姿になって貧民地区に現れた。


 私は、ぼったくられたの気にしてないが、鑑定眼と言う魔眼と宝を守るドラゴンとしての誇りがアサンを突き動かしてるらしい。


「こ、これで全部です! お願いですから食べないでください!」


『ぐははは! ……おい、紙とペンを用意しろ』


 闇市の商人が紙とペンを用意すると、アサンは魔法か何かで紙とペンを操作して数字を次々と書き込んでいく。


『この金額をクラウンバレットに献上けんじょうしろ。嫌なら全ての財宝をクラウンバレットに返却するが良い』


⬛︎


「な、何もあそこまでしなくても、良かったんじゃない? アサンちゃん」


「鑑定眼を持つ我からしたら、あの金額が許せなかったのだ。それにサラの身分は知らないが、よく聞くのじゃ。この世界には他人を平気で騙す悪い人間が山ほど居るのじゃ。クラウンバレット程の有名な怪盗団すらも騙す悪い奴らがな」


 とは言え、これまで盗んだ財宝の内120点が戻って来たけど、アサンの鑑定眼によると、国一つ買える値段だったらしい。


 今回の経験を元に、売る時は慎重になろうと思う私だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る