第11話 対峙
わたしはドアノブをノックした。これから先のわたしの命運がここで決まる。震えてるのは恐怖心ではなく武者震いだろう。わたしは意を決してドアを開けた。窓からの光で目が眩みそうだった。
「久しぶりね。」
なんで・・・姉さんが・・・
眼の前にいたのはセントラルハンター全ての頂点にたって、恐らく一番強くて、一番強くて・・・わたしの姉で・・・サーベルタイガー姉さんがいた。
「あなたがハンターになってから、顔を合わせるのはこれがはじめてかしら?」
「・・・うん・・・そうだね。懐かしい顔だと思ったよ。」
「あら、随分と他人行儀ね。」
わたしは姉さんの顔を直視できなかった。姉さんはわたしの知ってる優しい顔をしていなかった。あれは・・・強いていうならわたしや他のハンターがセルリアンを見るときの顔である。焦点が決まってない、どこを見てるかわからないのにこちらに強烈なプレッシャーを与える目。
「早速来てもらったところ悪いのだけど、あなたの次の仕事なのだけど・・・」
隊長はわたしに辞令を渡してきた。わたしは文面を読まずにとりあえず受け取った。
いや、文は怖くて読めなかった。の方が正しいのだろう。
「あなたには、セントラル守備についてもらうわ。」
もう何も考える気がなくなった。姉さんは滔々とセントラルの優秀なハンターは今回こちらに連れてきてしまったからセントラル守備の人材が必要なのだ・・・と語っていたが、もう内容は右耳から左耳に抜けていた。
「・・・そんなに・・・か・・・」
「なにか次の任務に関して質問はあるかしら?」
「そんなに!わたしは弱いんですか!!!!!!!!!!!!」
「弱い?わたしの妹が、弱いわけないでしょう?」
「だったら!いままでなんでわたしばっかり!わたしばっかり!」
いつぞや周りからセントラルハンターに昇格確定と云われる程の戦果を上げた時、わたしにはなにもなかった。
今回の任務だって、弱いから付き人がついた。
「わたしはっ!どんなに傷だらけになってもっ!!!獲物を取り逃がした事だけはっ!事だけはぁっ!」
「落ち着きなさい。ティラコスミルス」
わたしは腰のナイフの柄に手をかけていた。落ち着いていられるか。
「ティラコスミルス、わたしはあなたを弱いなんて思っていないわ。」
「でも、あなたにはセルリアンの脅威がない、安全な所で生活してほしい、そう思ってるだけなの。」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「だとしても!だからって!」
本来だったら評価されるはずの功績を握りつぶして、戦地から遠ざけることなど、あって良いものか!
「あなたなら新型セルリアンとも渡り合えると思うわ。でも、あなたが戦いで傷ついて・・・」
「うるさい!もう素直に認めれば良いじゃん!!!!わたしなんて弱くてゴミで・・・嫌いだってさぁぁぁぁ!」
わたしは・・・・ゎたしㇵ・・・!
「聞いたよ。オオウミガラスをここに送る時、あの子は半人前だから。って言ったんでしょ?」
「そんなこと。いったかしら?」
「そりゃそうだよね、あんたのせいで実戦経験が少なくされてるんだもん。そりゃいつまで経ったって、、、ねぇ?」
「・・・わたしは・・・」
「もうわかったよ。姉さんにこれ以上嫌われないようにわたしはせいぜい帰りますよ。でも、こっちでやりたいことがあるから。それ終わるまではこっちにいるから。邪魔しないでよね。」
わたしは執務室の重いドアを蹴りで開けて、壊す勢いで叩きつけた。
わたしはなにがしたくてハンターやってったんだっけ?
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