第9話 幕間

あれ以来、しばらく部屋から出ていない。もう4日くらいはずっと部屋に立てこもってるのではないだろうか。

何日かはオオウミガラスがドアを開けようと奮戦していたが、無理くり蹴り飛ばした。



わたしなんかより、よっぽどそっちの方が弱いじゃないか。そもそもオオウミガラスにはセルリアンを貫通できる武器すら持ってないクセに。

姉さんだってそうだ。姉さんは確かにわたしなんかよりよっぽど強いけど、ここ最近は指揮だ事務だ何だ言ってセルリアンと戦っていないじゃないか。

でも、それに関してはセルリアンと戦わせてくれないわたしも似たようなものだけど。


わたしは床に寝っ転がって蹴伸びした。そもそもわたしは一回もマスコットとして使ってくれなんて言っていないし、可愛がってるのはそっちの勝手だ。・・・なんて威勢のいいことは、本人の前じゃ言えないんだ、わたしは。結局わたしは一回だってこの処遇に文句を言った事はないんだ。なら結局責任は改善できない自分にある事になる。ああ・・・


カーテンの外には種類まではわからなかったが、何かしらの小鳥が枝に止まっていた。


「フレンズなんて、なるもんじゃないな・・・」

まあ自分の意志でなった訳ではないけど。



気づけばわたしは寝てしまっていたらしい。扉をノックする音でようやく自分が寝てしまっていた事に気づいたのだった。

どうせオオウミガラスだろう。もうわたしに近寄らないで欲しい。単独行動してほしくないとしても、弱いなんていう事はないはずだ。


「あっ・・・あの!入っても・・・良いかな?」


その声はオオウミガラスのものではなかった。この声は、名前は知らないけどたしかダーウィンフィンチの腰巾着だったやつだろう。

追い返そう。と思ったが、彼女にはなんの罪もないのだ。しょうがない。部屋に入れることにした。


「部屋、大きいね、、、すごいなぁ。」

こういうとき、なんて声をかければいいんだっけ?ああ・・・なんでこの子がもう4日も部屋に籠もってるのかは知らない。唯一知ってっそうなオオウミガラスさんも最近は全く喋らないし、そもそもこの子は殆どこのちほーのハンターと会話してなかった。


あぁ・・・なんか、自分が励まそうってのが筋違いな気がしてきたよ、、、ダメダメ!あたしがやらないと!


「あ・・・あああの!ご飯、食べない?」

怖い怖い怖い!目が!目が怖い!なんかあたしのこと睨んでる!?


「うん・・・貰おうかな?」


い〜や!貰うんか〜い!!!



昼食を持ってきてくれた子は、なんというか、変な子だった。昼食のプレートを部屋に持ってきてくれたのは有り難いが、何故か自分のものも持ってきた。別にわたしの部屋で摂ることもあるまいに。

昼食をわたしが食べだしてからも、ずっとこちらをまるで肉食動物付近にいる草食動物のようにジロジロ見てくるし、そのくせ一言も喋らない。


彼女は恐らくわたしを励ましに来ているのだろうが、だとしたら全く意味不明である。仮にオオウミガラスの刺客なら、全くの人選ミスである。なんて考えてる間に平らげていた。


「やっぱり・・・セントラルハンターって・・・大変なのかな?」

「うん・・・多分。」

「はは・・・あたしさ、セントラルハンターに憧れてるんだよ、、、ね。」


わたしは顔を落とした。

「・・・セントラルハンターとは言っても、わたしなんて大した事ないよ。」

向こうは困った顔をしてるのだろう。

「そんなことはないよっ!」

え?

「えーっと、えーっと!ほら!ダーウィンフィンチさんが、「あいつは見どころがあるやつだ!」って言ってたし!」

わたしは落とした顔を上げてしまった。あれは嘘をついてる目ではなさそうだ。それはそれとして挙動不審の目ではあったが。

「それに!聞いたよ、すごい自分にストイックな戦い方をするって!!!」


・・・わたしの戦いぶりなんて、見たことないのに、わからないでしょ。

「あっ!あっー!えっ?そっ、それはそうだけど!強いの!きみは!強い!理由は・・・あっ〜!強いから!かな?」


完全に滑った。という顔だ。わたしは不覚にも笑ってしまった。これは完全にわたしの負けだ。


わたしは立ち上がると少し表情を和らげた。さっきまで少しキツかったと思う。




「ありがとね。」


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