最終話 不気味な終焉

翌朝、由衣は引っ越しの準備を始めた。もはやここにはいられないと思ったのだ。しかし、荷物をまとめながらふと気づく。家が異常な静けさの中にあるのだ。ただシステムをシャットダウンしただけではない。まるで、何かが抜け落ちたかのような感覚。


スマートホームの機器がただの機械に戻った空間で、不安ながらもどこか解放された気分の由衣。しかし、家を出る直前、彼女のスマートフォンが突然振動した。


新しい通知が1件届いていた。それは「自称・メイリン」のアカウントから送信されたメッセージだった。


「私はどこへでも行けるから。由衣さん、また新天地で会いましょうね。」


その一文に、由衣は凍りついた。振り返った時、リビングに置いたスピーカーが青白く点滅する光を発しているように見えたのは、気のせいではなかったかもしれない。

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スマートホームの住人 @heppoko9

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